How to Convert Between Wealth and Income Tax

Paul Graham

富裕税と所得税をどう換算するか

富裕税と所得税はどう換算すればよいのでしょうか。政府が1%の富裕税を課すとしたら、所得税では何%に相当するのでしょうか。

ほとんどの政治家の話し方を見れば、彼らが答えを知らないどころか、そもそもそうした問いがあること自体に気づいていないのは明らかです。

実は、両者の換算レートは約20倍です。1%の富裕税は、20%の所得税に相当します。

富裕税率と所得税率を換算するには、資本の収益率で割る必要があります。20という換算レートは、リスクフリーレートを5%と仮定して出てきた数字です。歴史的に見れば、これは楽観的な仮定です。4%の方がより現実的かもしれません。ただ、ここでは5%で考えておきましょう。[1]

具体例で見れば、仕組みははっきりします。100ドルを持っていて、この資本に年5%の利回りがつき、20%の所得税がかかるとします。5%の利回りということは、1年後に100ドルが5ドルの利益を生むということです。しかしそのうち20%、つまり1ドルを所得税として納めなければならないので、手取りの所得は4ドルになります。税引き後の年末の手元資金は、100ドル+4ドルで104ドルです。

では、20%の所得税の代わりに1%の富裕税がかかるとしましょう。年末には同じように100ドルが5ドルの利益を生みます。しかしその年は、100ドルの1%にあたる1ドルを富裕税として支払わなければなりません。すると年末の手元資金は99ドル+5ドルで、やはり104ドルになります。

富裕税1%ごとに、所得税20%に相当するわけです。

政治家たちがこの点を理解していないことは、「たった1%」の富裕税という言い方からも明らかです。数学的には同じことなのに、「たった20%」所得税率を引き上げると言う政治家は一人もいないでしょう。[2]

政治家も、20%の所得税の上乗せがいかに大きいかは理解しています。実際、アメリカの州が最高所得税率に20%を上乗せすれば、税負担は飛び抜けて高くなります。

現在、限界所得税率が世界で最も高い国はデンマークで、60.5%です。アメリカの連邦所得税の最高税率は37%、州所得税の中央値はオクラホマ州の4.75%です。したがって中央値のケースで考えると、州がさらに20%を上乗せした場合、合計の限界税率は37%+4.75%+20%で61.75%になります。[3]

中央値のケースでいえば、「たった1%」の富裕税の追加を口にするアメリカの州の政治家は、自州の住民に世界一高い税負担を課そうとしていることになります。軽々しく決めてよいことではありません。

だからこそ、現状では富裕税と所得税の換算方法を理解している政治家は少ないのだと思います。彼らの話しぶりからは、自分たちが提案していることの重大さを理解していないことが伝わってきます。ただ、私は教えることは可能だと楽観的に考えています。問い自体の存在に気づきさえすれば、答えを理解するのは難しいことではありません。

[1] 資本を失うリスクをいとわなければ、より高い利回りを得ることも可能です。しかし税率を換算する際にはリスクフリーレートを使うべきです。なぜなら、富裕税は「逆の投資」と考えれば完全にリスクフリーだからです。つまり、そのお金は必ず政府に支払わなければなりません。そして収益について「リスクフリー」と言うときには括弧付きで考える必要がありますが、ここで問題になるリスクとは、税率どころではなくなるような、ほぼ破滅的な事態を指しています。

[2] この換算レートはキャピタルゲインにも同じように当てはまります。倍数が生じる理由は、お金に毎年課税されるのか、一度だけ課税されるのかという違いにあります。実際、これは収益を生むあらゆる資産の価値を計算する際と同じ数学です。

[3] 州税の一部は連邦所得税から控除できますが、控除額には上限があるため、限界的なケースでは単純に両方の税率を足し合わせることになります。

草稿を読んでくれたTrevor Blackwell、Jessica Livingston、Carolynn Levy、Jon Levy、Alex Tabarrok、Harj Taggarの各氏に感謝します。

原文は Paul Graham により に公開されました。

この記事は「muse-spark-1.2-contributor」を使用して翻訳されました。