TinyPilot:28ヶ月目
原文は Michael Lynch により に公開されました。 このブログを購読する
一行要約
需要に追われて奔走
ハイライト
- TinyPilotは10月に9万2千ドルの収益を記録し、売上高で過去最高を更新した。
- TinyPilotに合うサードパーティ・ロジスティクス(3PL)業者を見つけられたと思う。
- ケースが販売のボトルネックになる前に、何とか増産しようと奔走している。
目標の達成度
毎月頭にその月の目標を宣言している。以下がその達成度だ。
新しいサポートエンジニアの立ち上げ
- 結果:チームの立ち上がりは予想を上回るペースで進んでいる
- 評価:A
1人目のエンジニアは問い合わせの80%を独力で対応、2人目は50%を目標にしていた。厳密には計測していないが、おおむね達成できている。
1週間、過去最多のサポート依頼が押し寄せた時期があったが、チームはほぼすべてを目標応答時間内に回答できた。チームはさらにTinyPilotのウェブサイトとWikiに3本の新しいチュートリアルも公開した。
金属ケースの2つ目の試作の製造開始
- 結果:まだ2つ目の試作の設計段階にある
- 評価:D
再設計にかかる時間を甘く見ていた。3Dプリント業者なら設計変更は長くても数日で済むが、金属ケースの設計イテレーションには何週間もかかっている。
金属での設計自体が難しいのか、金属ケースの設計者がこのプロジェクトに割けるリソースが少ないのかはわからないが、3Dプリントとはまったく勝手が違う。
3PL業者3社に問い合わせ、フルフィルメント移管について相談する
- 結果:6社の3PL業者に連絡した
- 評価:A
連絡した6社のうち2社が求めている条件に合っていた。12月にはそのうちの1社にフルフィルメントを移管したいと考えている。
TinyPilotの統計
| 指標 | 2022年9月 | 2022年10月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ユニークビジター | 9,040 | 7,994 | -1,046 (-12%) |
| 総ページビュー | 17,608 | 17,862 | +254 (+1%) |
| 販売売上 | $68,640.50 | $85,834.20 | +$17,193.70 (+25%) |
| 法人サブスクリプション | $242.95 | $290.70 | +$47.75 (+20%) |
| ロイヤリティ | $3,440.90 | $5,544.12 | +$2,103.22 (+61%) |
| 総収益 | $72,324.35 | $91,669.02 | +$19,344.67 (+27%) |
| 利益 | -$5,337.82 | $26,042.39 | +$31,380.21 (+inf%) |
10月はTinyPilotの売上が再び過去最高を記録した。販売売上は8万6千ドルで、従来の記録を1万ドル近く上回った。利益は大きく伸びたが、月ごとの変動が大きいため、ここでは直近3ヶ月の平均である1万4千ドルを目安に考えたい。
10月でTinyPilotは今年の収支が黒字に転じた。年末には2万~4万ドルの利益で着地し、2023年には月1万5千~2万ドルの利益ペースに乗れると楽観している。
良くも悪くも、これはマーケティングにまったく力を入れていない中で起きていることだ。増え続ける需要に応えるため、新メンバーの立ち上げと生産規模の拡大にすべての時間を使ってきた。Google広告は自動運用で、月5千ドルのコストで約1万5千ドルの売上を生んでいるが、それ以外にTinyPilotは広告を出していない。
3PL業者の世界を探る
「3PL」はサードパーティ・ロジスティクス・プロバイダーの略称だ。3PL業者は他社の倉庫兼フルフィルメントセンターとして機能する。簡単に言えば、私の製品を保管し、注文が入ると当社が3PL業者に転送し、彼らが棚から製品をピックして箱詰めし、顧客に発送してくれる。
TinyPilotはこれまでフルフィルメントをずっと内製してきたが、もはやそれが合理的でなくなる局面に来ており、この業務を引き継ぐ3PL業者を評価している。
理想の3PL業者像
3PL業者には幅広い選択肢がある。一方の極にはAmazon FBAのような巨大で機械的な大手がいる。製品数が数千、1日の注文が数百件という規模なら彼らは適しているだろうが、非人間的で高度に自動化されているため、こちらが彼らの硬直的なプロセスに合わせなければならない。
Amazon FBAを使った他の創業者からは、在庫を大量に理由なく廃棄されたり、10万ドル以上の資金を何ヶ月も凍結されたりといった恐ろしい話を聞いている。だからAmazonは、私が3PL業者に求めるものとは正反対だ。
もう一方の極には、顧客数が数十から数百、倉庫は1~2拠点という「家族経営」的な3PL業者がいる。TinyPilotの状況が変化しても柔軟に対応してくれる、そんな業者を見つけたいと思っていた。
3PL業者の探し方
3社は、住んでいる地域の近くでGoogleマップで「3PL」と検索して見つけた。その3社のうち返信があったのは1社だけで、残り2社は無視だった。返信をくれた1社は、今回見つけた中で最も条件に合う業者で、倉庫はTinyPilotのオフィスから車でわずか2時間の距離にある。
もう1社、ノースカロライナの小規模な3PL業者は「3PL site:reddit.com」で検索して見つけた。創業者が2年前に投稿したコメントがヒットしたのだ。連絡を取ると数日後にビデオ通話ができ、そこも良い選択肢に思えたが、やはり車でいける距離の業者の方が好ましい。
残り2社は知人からの紹介で見つけたが、どちらも不発だった。注目すべきは、どちらも自社を3PLではなく「パッケージング」業者と謳っていたことで、シリアルやキャンディのような製品を作る企業向けなのだろうと思う。
「家族経営」的な3PLとの仕事
話を聞いた2社の3PL業者は、どちらも探し始めた当初に思い描いていた理想に非常に近かった。両社とも、顧客が必要とするあらゆるプロセスに柔軟に適応できることを強調していた。TinyPilot側から、特定の組み合わせで梱包してほしいといった特別な指示を出せる(例:製品Xが1つでも含まれる注文には、無料の製品Yを必ず同梱する、など)。
どちらの業者も顧客数は100~200社で、ダンバー数の範囲にすっぽり収まる規模感で安心できた。以前、デザイン会社で最も小さいクライアントとして痛い目を見た経験から、他の顧客と比べて自分がどのあたりに位置するのか尋ねてみたが、どちらも注文量では中位にあたるとのことだった。
製品単価で見ると、私は彼らの他の顧客と比べて高い方に位置する。3PL業者は20~50ドル帯の製品を多く扱っているようだ。TinyPilotは単価が高いため、業者が注文ごとに定額料金を課し、売上に対する割合ではないという点で有利になるはずだ。3PL業者はさらに倉庫の保管スペースでも課金するが、TinyPilotの製品は小さいのでそのコストも低く抑えられるはずだ。
どちらの3PL業者も軽度の製造サービスを提供しており、理論上は原材料を送ってTinyPilotデバイスを組み立ててもらうことも可能だ。ただ、製造を外注するなら、TinyPilotのカスタムハードウェアを作っている中国の工場に組み立ても任せた方が簡単なので、おそらくそうはしないだろう。一方で、万が一TinyPilotと製造元との間で深刻な紛争が起きた場合、中国にある会社と裁判で争うより、どちらも米国にいる方がましだという利点はある。
金属ケースでは製造品質が大きな差を生む
TinyPilotは3Dプリント製ケースから金属ケースへの移行を進めている。TinyPilotのハードウェアパートナーが最初の試作を中国の業者に依頼したが、私は2019年に地元の板金加工業者を何社か調べてインタビューしていた。地元業者なら中国とのやり取りより設計のイテレーションが速くなるだろうと考え、彼らからも見積もりを取るべきだと思った。
地元の板金業者4社に連絡したところ、返事をくれたのは1社だけだった。彼ら曰く、他社はこんな小さな仕事には興味を示さないだろうが、自分たちは試作を専門にしているので手伝える、とのことだった。
数週間後、米国の業者から試作品が届いたが、見た瞬間にがっかりした。

米国メーカーによるTinyPilot金属ケースの最初の試作品
そのケースは、壁に穴を開けて中から配線を引きずり出したときに出てきそうな見た目だった。とても顧客に渡せるような代物には見えなかった。曲げ部分の継ぎ目には大きく目立つ隙間があり、縁は皮膚を切るほど鋭くはないものの、触っていて心地よい鋭さでは決してなかった。しかもネジのほとんどが外側から見えており、雑な印象だった。
がっかりしたことをTinyPilotのハードウェアパートナーに共有すると、見えている問題のほとんどは設計の悪さではなく製造の未熟さによるものだと言われた。表面は粉体塗装すればもっと良く見えるし、縁が鋭いのは板金工場がバレル研磨を十分な時間かけていない証拠だとのことだった。
半信半疑だったが、中国に発注した試作品の到着を待った。数週間後にそれが届くと、出来は雲泥の差だった。

中国メーカーによるTinyPilot金属ケースの最初の試作品
粉体塗装によって表面の手触りはまったく別物になり、ずっとユーザー向け製品らしくなっていた。鋭い縁も隙間のバリもなく、継ぎ目はほとんど目立たない。比べると、米国製試作の隙間は巨大に見えた。


米国の業者のケース(左)は継ぎ目に比較的大きな隙間があったのに対し、中国の業者のもの(右)は継ぎ目がきれいで、ほとんど隙間がなかった。


角の穴は、米国の業者のケース(左)の方が中国の業者のもの(右)よりはるかに大きかった。


米国の業者のケース(左)はカットの一部にギザギザした縁が残っていたのに対し、中国の業者のもの(右)はそうした箇所が少なかった。
最も衝撃だったのは価格の差だ。中国の試作は139ドルだったのに対し、米国製は857ドル。品質ははるかに劣るのに6倍以上も高かった。
| 業者の所在地 | 価格 | 納期 | 品質 |
|---|---|---|---|
| 米国 | $857 | 20日 | D |
| 中国 | $139 | 31日 | A |
納期の大部分は物流の調整に費やされたため、今後のイテレーションでは10~20日に短縮できると見込んでいる。
ケース確保の競争
3Dプリント製ケースがTinyPilotのボトルネックになることを、7ヶ月目からずっと懸念してきた。その後、3Dプリント業者はプリンターを増設してTinyPilotの注文に対応してくれたおかげで、時間を稼ぐことができた。しかし、金属ケースの準備が整い次第TinyPilotの注文は急速にゼロに向かうため、業者側がこれ以上生産能力を増やし続けるのは理にかなわない。
10月末時点で、在庫は190ケースあった。TinyPilotの3Dプリント業者は通常月に140~160ケースを製造するが、販売数は月に約210台だ。これを基にすると、2023年1月には在庫が枯渇すると予想される:
| 月 | 製造数 | 販売数/販売予測 | 月末在庫数 |
|---|---|---|---|
| 10月 | 150 | 207 | 190 |
| 11月 | 150 | 210 | 130 |
| 12月 | 130* | 220 | 30 |
* 祝日により生産能力の低下を見込む。
もし需要が230台あるのに販売数が150台まで落ち込めば、80台 × $375/台 = 3万ドルの売上、つまり月2万ドルの利益を実質的に取りこぼすことになる。
金属ケースに切り替えれば、製造能力は問題にならない。中国の板金業者なら月に数千個を量産できる。難しいのは、金属ケースがいつ準備できるかを予測することだ。それは主に何回の設計改訂が必要かにかかっている:
| シナリオ | 初回量産ロットの予定時期 | 確率 |
|---|---|---|
| 2回目の改訂で量産可能になる | 2022年12月下旬 | 75% |
| 3回目の改訂で量産可能になる | 2023年2月上旬 | 20% |
| 3回以上の改訂が必要になる | 2023年4月以降 | 5% |
言い換えれば、運が良ければ何もしなくても、3Dプリント製ケースが切れるちょうどそのタイミングで最初の数百個の金属ケースが届く。運が悪く金属ケースの設計に3回の改訂が必要になれば、TinyPilotは1月に約2万ドルの利益を逃す。さらに運が悪ければ、2023年第1四半期全体で約6万~7万ドルの利益を逃すことになる。
迫る3Dプリント製ケース不足への対応策として考えた選択肢は以下のとおりだ:
- 何もせず、3Dプリント製ケースが切れる前に金属ケースが間に合うことに賭ける。
- 追加の3Dプリント業者に発注して生産能力を補う。
- 取引先の業者に一時金を支払い、新しいプリンターの購入費用を補助する(所有権は業者側)。
- 3Dプリンターをこちらで直接購入し、業者が運用してTinyPilot専用として稼働させる。
私は選択肢(4)を選んだ。
新しいMarkforgedのプリンターは税・送料込みで5,500ドルする。数ヶ月後に金属ケースへ切り替えたら3千~4千ドルで売却できればと思っている。実質的に、2千ドルを払って2万ドルの潜在的な損失に備えるということだ。
他の業者にも3Dプリントの見積もりを取ったが、どこも驚くほど高かった。2021年初めに生産不足に備えてバックアップ業者から見積もりを取っていたが、それ以降価格は約80%上昇し、1ケースあたり100~180ドルになっていた。中国の業者2社はより安い材料で1ケース20~50ドル台を提示してきたので、プランBが必要になった場合に備えてサンプルを依頼した。
まとめ
今月やったこと
- TinyPilotの金属ケースの最初の試作を製造した
- 「TinyPilot」という名称で米国商標を出願した
- 「On Migrating from Cypress to Playwright」を公開した
- 「Should I invest in iBonds?」を公開した
学んだこと
- 小規模でユニークなビジネスに寄り添ってくれる3PL業者を見つけることは可能だ。
- eコマースのエコシステムでは、ほとんどのベンダー(例:Shopify、Amazon)は事業者に硬直的なワークフローを強要し、ビジネスに少しでも特殊な事情があると面倒なことになる。
- これまでの経験から、より小さなニッチにサービスを提供し、企業のフルフィルメントワークフローの独自性に適応できる3PL業者は存在する。
- 板金での設計は、3Dプリントと比べて桁違いに時間とコストがかかる。
来月の目標
- TinyPilotのフルフィルメントを3PL業者へ移管する準備を進める。
- 新しいサポートエンジニアのオンボーディングを続ける。
- 自分がクリティカルパス上にいるプロジェクトを減らす。
記事をランダムに読む
コメント
ログインしてコメントする