TinyPilot:25か月目
一言でまとめると
ブログ記事は、成功した場合でも書く価値があるのでしょうか。
ハイライト
- TinyPilotのウェブサイトをリデザインした話についてのブログ記事が、過去で2番目に読まれた記事になりました
- ブログにより多くの知見を残す方法を模索しています
- 在庫を減らすため、TinyPilotの価格を下げました
目標の達成度
毎月月初に、その月に達成したいことを宣言しています。結果は次のとおりでした。
TinyPilotのライセンス管理の計画を確定する
- 結果: 進捗なし
- 評価: F
次世代アップデートシステムへの移行に想定以上に時間がかかったため、こちらは手つかずのまま終わりました。
TinyPilot Communityを次世代アップデートシステムへ移行する
- 結果: あと一歩のところまで来ましたが、まだ切り替えには至っていません
- 評価: C
アップデートシステムの刷新は、あと数日で終わりそうに見えてはまた新たな修正点が見つかる、という繰り返しです。時間はかかっていますが、これは旧システムがいかに複雑だったかの裏返しでもあります。保守性の高い新システムが使えるようになるのが楽しみです。
TinyPilotウェブサイトのリデザインについてのブログ記事を公開する
- 結果: 「46,000ドルのウェブサイトリデザインを後悔している」を公開し、過去で2番目に読まれた記事になりました
- 評価: A
振り返りでたくさん書いてきたので簡単に書けると思っていましたが、完成まで約2か月かかりました。反響は予想をはるかに超え、公開初週で15万7千人のユニークリーダーを集めました。今も波紋は広がり続け、別のチャネルで記事を見かけた人がデザイン系ニュースレターなどで紹介することで、新たな読者を呼び込んでいます。
TinyPilotの統計
| 指標 | 2022年6月 | 2022年7月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ユニークビジター | 10,056 | 21,242 | +11,186 (+111%) |
| 総ページビュー | 18,764 | 33,578 | +14,814 (+79%) |
| 販売収益 | $65,597.73 | $56,954.66 | -$8,643.07 (-13%) |
| エンタープライズサブスクリプション | $47.75 | $290.70 | +$242.95 (+509%) |
| ロイヤリティ | $1,710.27 | $2,513.71 | +$803.44 (+47%) |
| 総収益 | $67,355.75 | $59,759.07 | -$7,596.68 (-11%) |
| 利益 | -$4,230.17 | -$12,349.21 | -$8,119.04 (192%) |
ウェブサイトのリデザイン後も販売は好調を維持しています。13%の減少はありましたが、ほぼ1件の注文が原因です。6月に大企業から4,200ドルの複雑なカスタム注文があり、発送の翌日に先方からキャンセルされました。そのため、ここ2か月の差額のうち8,400ドルは、6月に売上が計上され、7月に返金が発生したことによるものです。
ただ、この赤字幅には正直参りました。毎月「これで大きな一時費用は最後だろう」と思うのですが、必ず利益を食いつぶす何かが出てきます。今月は、チップ不足に対応するためのハードウェア再設計費用が1万7千ドル、さらに1年前に完了した作業の請求を先延ばしにしていた旧ベンダーからの1万ドルの請求書でした。
リデザイン後悔ブログ記事について
「46,000ドルのウェブサイトリデザインを後悔している」は、今や過去で2番目に読まれた記事となり、初週で15万7千人のユニークリーダーを集めました。7月のHacker Newsでは2番目に多くUpvoteされた投稿となり、/r/web_designと/r/programmingの両サブレディットで1位を獲得しました。これまでに私が書いた記事でこれ以上の注目を集めたのは、「なぜGoogleを辞めて独立したのか」の1本だけで、こちらは38万9千人の読者を集めました。

「46,000ドルのウェブサイトリデザインを後悔している」は過去で2番目に読まれた記事となり、初週で15万7千人のユニークリーダーを集めました。
公開の翌日には、Jonathan Stark氏からポッドキャスト「Ditching Hourly」にゲスト出演しないかと声をかけていただきました。Jonathan氏は、今回の失敗は時間単価制が悪いインセンティブを生んだせいだと考えていましたが、私は丁重に異を唱えました。興味深い議論ができたと思います。
なぜこの記事はこれほど人気が出たのか
正直なところ、これほど注目されるとは思っていませんでした。
どの記事も外す可能性はありますが、この記事は特に失敗するリスクが高いと感じていました。不利な要素がいくつもあったからです。
- 4,100語、推定20分の長文で、いつもの記事のほぼ2倍の長さでした。
- Hacker News向きではありますが、他の場所で受ける自信はありませんでした。
- ウェブデザイン会社に46,000ドルを支払うという経験は、ほとんどの人にとって身近ではありません。
- もしHacker NewsやRedditといったソーシャルプラットフォームで伸びなければ、誰も「ウェブサイト リデザイン 後悔」などと検索しないため、Google経由で見つけてもらえる可能性はほぼありませんでした。
記事が成功した今、見落としていた強みがいくつかあったことに気づきました。
第一に、これはストーリーであり、人はストーリーが大好きだということです。私のヒットした記事の多くはストーリー仕立てです。たとえテーマ自体にあまり興味がなくても、人間的な要素に共感できれば読者は読み続けてくれます。
次に、思っていた以上に共感しやすい内容だったということです。デザイナーを雇う人はごくわずかですが、デザインについて意見を持っている人はほぼ全員です。そして私はデザインについてほとんど何も知らないので、専門用語や学術的な言葉で読者を遠ざけることもありませんでした。また、デザイン会社に依頼するという具体的な体験よりも、「企業にいいように利用された」という感覚の部分で共感した人も多かったのではないかと思います。こちらの方がはるかに普遍的な経験だからです。
最後に、馬鹿げたことに大金をつぎ込む話であり、人はそういう話に惹きつけられるということです。得をするにせよ損をするにせよ、お金や(比較的)大きな金額の話を聞くのは面白いのです。
なぜ会社名を公表して非難しなかったのか
最も多く寄せられた反応の一つが、仮名ではなく実名を出すべきだったというものでした。
匿名にしたのにはいくつか理由がありました。
- 目的は経験から学ぶことであり、すべてを会社側のせいにしてもあまり学びにはなりません。
- 相手に反論され、誰が悪いのかをめぐって公開の場で延々とやり合う事態を避けたかったのです。
- 私の一方的な話だけを根拠に、人々がその会社に嫌がらせをする事態を望みませんでした。
しかし、この振り返りを書いていて、これらの理由はいずれも本当の決め手ではないと気づきました。過去には、同じ理由が当てはまる状況でも実名を挙げて非難したことがあるからです。
- Stripeが顧客について過剰なデータを収集していると非難しました。
- あるケトパン会社がアフィリエイトへの支払いを不当に抑えていると非難しました。
- ある暗号資産関連企業が顧客を危険にさらし、全般的に無能であると非難しました。
本当の理由は、あまりに個人的なことだったからだと思います。8か月間一緒に仕事をし、頻繁に顔を合わせて話をしてきました。手のひらを返してブログで悪者扱いするのは、あまりにも冷たいことのように感じられたのです。
もしその会社の落ち度がもっとひどいものであれば、喜んで実名を出したでしょう。例えば、ウェブサイトにバックドアや暗号資産のマイナーを仕込もうとしたのであれば、話は別です。しかしハンロンの剃刀を当てはめるなら、今回は悪意というよりマネジメントの拙さが原因だったと思います。だから公開で吊し上げるほどのことではないと感じました。
こうしたブログ記事を書く価値はあるのか
TinyPilotを始めて以来、書く量を大幅に減らしました。去年の大半は、TinyPilotの重要な業務をこなすだけで1日の時間が足りず、1日1時間もブログに費やす余裕はないと感じていました。
3月になってようやく時間に余裕ができ、再びブログを書き始めましたが、TinyPilotにつながるテーマに限っています。では、それは割に合うのでしょうか。
新しいブログ記事は、TinyPilotのウェブサイトへ人を呼び込むことに成功しています。2022年の訪問者数の解析を見ると、TinyPilot関連の記事を公開したタイミングではっきりとしたスパイクがあります。

しかし、訪問者がすべて有料顧客になるわけではありません。特にウェブサイトのリデザインに関する記事のような場合、訪問者の多くは単に好奇心でサイトを覗いただけで、製品自体には興味がありません。
販売データを見ると、ブログ記事と購入数の増加との相関はそこまで強くありません。

注記: 最初のブログ記事直後の売上スパイクは、最終的にキャンセルされた大口注文が含まれているため、実際より大きく表示されています。Shopifyの解析のバグで、この注文がグラフ上では二重にカウントされています。したがって、実際のスパイクは8,400ドル分低くなるはずです。
こうしたブログ記事への投資に見合う価値があるのかという問いに戻ると、私の答えはイエスですが、強い根拠があるわけではありません。
私はブログを書くのが好きですし、忙しすぎて書けないという感覚が大嫌いです。記事がTinyPilotの売上に直結することを証明はできませんが、認知という点で長期的なプラス効果があると考えています。私の記事によって、そうでなければ私のような製品の存在にすら気づかなかった人々にTinyPilotを知ってもらえていると信じています。
ツイートは減らし、ブログをもっと書く
先月Twitterで、Josh Pitzalis氏から私が書いたプログラマティックSEOに関する内容について質問されました。

地元のコメディサイトでプログラマティックSEOを使ってページを生成したことは覚えていましたが、彼が何のことを言っているのか分かりませんでした。何か書いたようなおぼろげな記憶はありましたが、ブログには何も見つかりませんでした。
数時間後、Josh氏自身が覚えていたものを見つけてくれました。すっかり忘れていた私のTwitterスレッドでした。
あのやり取り以来、他のプラットフォームではなく、もっとブログで書くにはどうすればよいかを考えています。Twitterは知識を残す媒体としては特に不向きです。そもそも一過性であることを前提に設計されています。自分が何を投稿したかも忘れてしまいますし、過去の投稿を検索するのも遅くて面倒です。
ブログを始めた当初は、チュートリアルがあればいいのにと思うような技術的な問題に何度もぶつかったので、自分で書こうと思ったのがきっかけでした。やがて、読者は解決策そのものよりも、私が試行錯誤して解決に至るまでのストーリーにより強く反応することに気づきました。例えば、植物への自動水やりロボットを作った話の記事は、初期にヒットした記事の一つですが、それは技術的な詳細よりもストーリーに焦点を当てたからでした。
スタイルを変えたことでより多くの人に読まれる記事を書けるようになりましたが、一方で、苦労して見つけた解決策を共有する良い場所がないという、元の問題に戻ってしまいました。そこで、幅広い読者を集めることを目的とせず、単に役立つ知識を共有するための場として記事を書く試みをしています。
「知識を残す」スタイルへの回帰の第一弾として、先週「暗号化されたZFSデータをアンロックせずにバックアップする」という記事を公開しました。どこでもあまり話題にはなりませんでしたが、今では「back up encrypted zfs data」という(確かにニッチな)検索クエリでGoogleのトップに表示されています。

記録によると執筆にかかった時間は6時間弱で、投資対効果は良かったと感じています。書くことでZFSの仕組みについての理解が深まりましたし、たとえ誰も読まなくても自分用の有用なリファレンスになると感じています。
ブログにより多くのコンテンツを残そうとはしていますが、中にはやはりTwitterの方が向いているものもあると思います。ここ2週間、なぜPicoShareがメモリの少ないシステムでクラッシュし続けるのかを調べており、その進捗をツイートしてきました。
スレッドは好評のようで、たくさんの有益なアドバイスをもらい、一人でやるよりもはるかに早く問題を特定できました。完成した成果ではなく、リアルタイムの進捗を共有しているので、これこそTwitterに理想的なコンテンツだと思います。
TinyPilotの価格をもっと試す
7月、今年初めてTinyPilot製品の価格を下げました。
長い間、私は逆の方向に動いていました。つまり、人々が高すぎると感じる限界を探るために、徐々に価格を上げてきたのです。値上げするたびに「この価格では誰も買わないだろう、馬鹿げている」と思っていました。ところが収益は変わらないか、むしろ増えるように見えたのです。そして、値上げに対して収益が横ばいだったとしても、それはそれで勝ちです。単価の高い少数の顧客をサポートする方が楽だからです。
価格を高止まりさせていたもう一つの要因は、新しいデバイスを製造できなかったことです。Voyager 2には、ハードウェア設計パートナーが設計したカスタムPCBが必要です。当初900台を製造しましたが、その後は部品不足で追加生産ができませんでした。ハードウェアエンジニアがPCBを再設計する必要があったため、在庫を引き延ばすために価格を上げたのです。
幸い、ハードウェアエンジニアたちはギリギリのタイミングでPCBを再設計し、新たなロットを製造してくれました。在庫は残り6台まで減っていました!少なくとも今後数か月は、製造能力の制約からは解放されるはずです。
今は原材料の在庫が積み上がっているので、棚で場所を取るだけの在庫に会社の資産を縛り付けておくより、売ってしまいたいと考えています。販売ペースが上がるかどうかを確かめるため、価格を下げました。
| 製品 | 旧価格 | 新価格 | 変動 |
|---|---|---|---|
| Voyager 2 Standard | $389 | $349 | -$40 (-11%) |
| Voyager 2 PoE | $448 | $398 | -$50 (-11%) |
理論上、値下げすれば売上は増えるはずですが、こうしたことは予測が困難です。349ドルでTinyPilotを買う人なら、389ドルでも買ったかもしれません。そうだとすれば、1件あたり40ドルをみすみす手放していることになります。月末までには、その効果がよりはっきり見えてくるはずです。
PoE版と非PoE版の売上比率にどう影響するかも気になっています。これまでは非PoE版がPoE版の2倍売れていました。価格改定後の短い期間では、比率が1対1に近づいてきているので、この傾向が続くか見守りたいと思います。
まとめ
何ができたか
- 新しいブログ記事を2本公開しました:「46,000ドルのウェブサイトリデザインを後悔している」と「暗号化されたZFSデータをアンロックせずにバックアップする」
- ソフトウェアアップデートへのアクセスを管理する新しいTinyPilotウェブサービス「Gatekeeper」に機能を追加しました
- PicoShareのいくつかのパフォーマンス問題を修正しました
学んだこと
- 自分では予想もしなかった部分に、人は共感することがあります
- Twitterは短期的な満足感はありますが、知識をブログに残す方が長期的な価値が高いです
来月の目標
- TinyPilot CommunityとTinyPilot Proを次世代アップデートシステムへ移行します
- TinyPilotのライセンス管理の計画を確定します
- レビューのため、2名のYouTubeクリエイターまたはブロガーにTinyPilot Voyagerを送ります
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