TinyPilot:16ヶ月目
原文は Michael Lynch により に公開されました。 このブログを購読する
一言でまとめると
TinyPilot Cloudの失敗
ハイライト
- 新製品を発表したものの、それが間違いだったと気づきました。
- TinyPilotのウェブサイトをシンプル化し、単一のデバイスに絞りました。
- TinyPilotから初めて本格的な休暇を取ろうとしましたが、結果はまちまちでした。
目標の自己評価
毎月月初にその月の目標を宣言しています。結果は次のとおりでした。
カスタマーサポートを担えるよう現地スタッフを育成する
- 結果:現地スタッフがサポートメールの約50%に対応しています。
- 評価:A-
現在、共有のカスタマーサポート用キューとしてHelpScoutを使っています。私にしか対応できない、背景知識や技術的な専門性が必要な問い合わせもまだ多くありますが、それ以外は手伝ってもらえて助かっています。
また、顧客が注文後に「配送先の住所を間違えたので訂正したい」といった緊急性の高い問い合わせをしてきた際に、自分がボトルネックにならずに済むのが素晴らしいです。HelpScout導入前は、顧客とTinyPilotのフルフィルメント担当の間で私がメッセージを仲介しなければならず、対応が遅れることもよくありました。今ではフルフィルメント担当がリクエストを直接受け取り、私を介さずに対応できます。
TinyPilotを補完する月額課金型ソフトウェアの開発を開始する
- 結果:ユーザーの反応が芳しくなかったため、開発を一時中断しました。
- 評価:C-
TinyPilot Cloudというサービスのプレビューを公開し、早期アクセスの申し込みを受け付けました。しかしユーザーからの関心が十分に集まらなかったため、現在はプロジェクトを中断しています。
TinyPilotのウェブサイトのリブランディングを完了する
- 結果:完成目前ですが、まだ完了していません。
- 評価:B-
リブランディングは想定より時間がかかっていますが、11月には公開できるはずです。新しいデザインはとてもかっこよく仕上がっているので、早く公開したいと思っています。
TinyPilotの統計
| 指標 | 2021年9月 | 2021年10月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ユニークビジター | 9,960 | 6,898 | -3,062 (-31%) |
| 総ページビュー | 15,744 | 13,008 | -2,736 (-17%) |
| 販売収益 | $42,234.17 | $34,927.55 | -$7,306.62 (-17%) |
| エンタープライズ向けサブスクリプション | $48.00 | $48.00 | 0 |
| ロイヤリティ | $3,431.35 | $6,804.53 | +$3,373.18 (+98%) |
| 総収益 | $45,713.52 | $41,780.08 | -$3,933.44 (-9%) |
| 利益 | $11,713.04 | $1,936.22 | -$9,776.82 (-83%) |
TinyPilotは今月も比較的堅調な売上でした。前月より売上はやや減少しましたが、欧州の販売代理店が9月から売上を倍増させ、大きな支えになりました。
売上自体は堅調だったにもかかわらず利益が先月より減ったのは、開発コストが$11,000と例外的にかさんだためです。さらにリブランディングのデザインコンサルティングに$5,000を費やしましたが、この支出はあと2ヶ月ほどで終わる予定です。
TinyPilot Cloudの失敗
ユーザーから最もよく寄せられる要望の一つが、TinyPilotデバイスへのインターネット経由でのアクセスです。いくつかサードパーティ製の解決策はありますが、どれも動作が遅かったり使い勝手が悪かったりします。
そこで自然と生まれたのが、有料サービス「TinyPilot Cloud」のアイデアでした。デバイスへのシンプルで高速なクラウドアクセスを提供するサービスです。他のどのKVM over IPデバイスもネイティブには提供していない機能なので、強力なセールスポイントになるはずでした。このサービスは、パフォーマンスとセキュリティを保ちつつ、すべてを徹底的にシンプルにするというTinyPilotのブランドにも合致しています。何より、eコマース特有の売上の波に左右されない安定した収益源になるのが魅力でした。
利用可能なオープンソースツールやクラウドベンダーを考えると、TinyPilot CloudのMVP(最小限の実用的な製品)は約1ヶ月でデプロイできると見積もっていました。他のTinyPilot開発者と協力し、WireGuardとfly.ioを使ったシンプルな概念実証(PoC)を実装しました。想定よりは難航しましたが、既存のサードパーティ製クラウドアクセスの解決策よりはるかに快適に動作しました。
基本的なプロトタイプができたので、要件定義書を作成し、TinyPilotのシニア開発者に設計書への落とし込みを依頼しました。これも予想以上に骨が折れました。認証プロバイダーを評価し、セキュリティと使いやすさのバランスを取った複雑なセットアップフローを設計する必要があったからです。
設計作業の一環として、シニア開発者がユーザーフローのモックアップ用スクリーンショットを作成しました。それらを使って、TinyPilot Cloudの早期アクセス登録を呼びかけるティザー記事をブログに投稿しました。

TinyPilot Cloudについて私が公開したティザー記事。
この告知をTinyPilotのメーリングリスト登録者450人に送りました。そのうち94人がリンクをクリックし、クリック率は有望な数字でした。
2日経っても、TinyPilot Cloudのウェイティングリストに登録してくれたのはわずか2人でした。TwitterやReddit、TinyPilotのユーザーフォーラムでも記事をシェアしたにもかかわらずです。

ティザー記事公開から2日経っても、TinyPilot Cloudの早期アクセスに登録したのは2人だけでした。
2件という登録数は、期待を大きく下回っていました。50件ほどの登録があり、そのうち25件が実際の顧客になって月$750程度の収益からスタートできれば、と考えていたのです。TinyPilotを積極的にフォローしてくれている層からさえ2人しか関心を示さなかったとすれば、何かが根本的に間違っています。
登録してくれたユーザーに連絡を取り、彼らのような顧客をどう見つければいいかヒントを得ようとしましたが、反応はそれほど前向きではありませんでした。1人は返信すらなく、もう1人は好奇心で登録しただけで、実際にサービスを使うかはわからないとのことでした。
他のユーザーからはコストへの懸念の声も上がりました。クラウドアクセスに月$30は高く感じるというのです。大口の顧客は価格には比較的寛容でしたが、社内ネットワークを外部サービスに晒したくないと考えていました。
求められてもいないものにあれだけ時間を費やしてしまったことに、落胆し、恥ずかしささえ感じました。結局このプロジェクトには、延べ6〜8人週もの開発時間を費やしました。エンジニアリングに何ヶ月も投資する前に顧客の需要を検証するなど、起業のイロハのはずです。
振り返ってみれば、動く製品を作ることから始めるのではなく、まずブログ記事だけを公開して関心を測るべきでした。私の間違いは、「クラウドアクセスが欲しい」という声を「月$30払ってでも欲しい」と勝手に解釈してしまったことです。この分野の既存プロバイダーは中小企業や個人ユーザー向けに無料でサービスを提供しているため、月$30という価格は意外なほど高く感じられたのだと思います。
今のところ、TinyPilot Cloudの開発は中断しています。設計内容はしっかり文書化してあるので、もし顧客が見つかれば数ヶ月後に再開することも可能です。あるいは、顧客自身がセルフホストできるオープンソース版として公開するかもしれません。
製品を1つに絞る
私が最初に販売したTinyPilot製品は、TinyPilot Hobbyist Kitでした。専用ハードウェアやケースを用意する前、市販の部品を組み合わせて私が最初に自作したTinyPilotと同じものを顧客自身で組み立てられるキットとして提供していたのです。TinyPilotが進化し、ハイエンドモデルのTinyPilot Voyagerが加わっても、価格を抑えたい顧客向けにHobbyist Kitの提供を続けてきました。

今月販売を終了したTinyPilot Hobbyist Kit
9月からTinyPilotのリブランディングでデザイン会社と仕事を始めました。「どんな顧客にアピールしたいか」と聞かれたとき、私は「中小企業と、技術に詳しい一般消費者」と答えました。
その会話をきっかけに、Hobbyist Kitがその目標の妨げになっているのではないかと考え始めました。高級感のあるTinyPilot Voyagerの横に安価なDIYキットが並んでいると、Voyagerも「自分で組み立てられるもののちょっと良い版」にしか見えないのではないか、と。

Hobbyist Kitと並ぶと、TinyPilot Voyagerは安っぽく見えないだろうか?
さらにややこしいことに、Raspberry Piの品不足が続いています。新規注文の納期は6ヶ月以上で、半導体不足が解消する前に在庫が尽きる可能性もあります。貴重な在庫を$350の製品ではなく$190の製品に使うのは得策とは思えませんでした。
そこで月中旬、Voyagerに注力するため、ウェブサイトからHobbyist Kitを取り下げました。

製品ページからTinyPilot Hobbyist Kitを取り除いたところ
その方がすっきりしました。KVM over IPデバイスを求める顧客にとって、選択肢は明確になりました。Hobbyist KitとVoyagerを比較検討し、プラグアンドプレイの手軽さや高画質のために追加料金を払う価値があるかを悩む必要がなくなったのです。
そして「なぜここで止める必要があるのか?」と思いました。他の製品も本当に掲載する必要があるのか、と。TinyPilot Proへのアップグレードは、顧客はウェブサイトを経由するのではなく、通常TinyPilotのウェブダッシュボードから直接購入しています。DIY層向けの電源コネクタは引き続き提供したいものの、メインの製品ページに載せる必要はありません。そう考えると、そもそも製品一覧ページ自体が不要だと気づいたのです。
アクセサリー類を削ることで、TinyPilotのウェブサイトをフラッグシップ製品であるVoyager中心に絞り込むことができました。

現在のTinyPilotウェブサイトでは、Voyagerという単一製品のみを提供している
製品を1つに絞ることには多くの利点があります。カスタマーサポートの負担が減り、在庫スペースにも余裕ができ、注文処理もシンプルになります。
変更以降、売上は好調に推移していますが、これが変更による直接的な効果かどうかは判断が難しいところです。変更後に上昇傾向が見られるのは確かですが、先月の好意的なメディア露出の余波かもしれません。

過去90日間のTinyPilotの総売上
Voyager 2は1〜2ヶ月以内に出荷できる見込みです。当初はVoyager 1と2を並行販売し、それぞれの価格を試す予定でした。しかし単一製品の方がいかに販売しやすいかを実感したので、後継機の出荷開始後まもなくVoyager 1は段階的に販売を終了するつもりです。
休暇のテスト
今年の目標の一つは、TinyPilotの業務を十分に仕組み化して、2週間の休暇を取れるようにすることでした。パンデミック中は旅行する気になれず、あまり試せていませんでしたが、ワクチンが普及してからは数回旅行しています。
8月には友人の結婚式に出席するため3連休を取りました。これは実質的に金曜日を1日休んだだけなので、大きな問題が起こるはずもなく、スムーズにいきました。
先月はもう少し長めに、平日3日+週末の計5日間の旅行をしました。仕事用メールは基本的に見ないようにしつつも、緊急の用件がないか数回ざっと目を通しました。戻ってみると、現地スタッフが注文処理や在庫管理を問題なくこなしてくれていましたが、仕事用の受信箱には122通もの未読メールが溜まっていました。復帰後は丸3日間、ほぼメールのキャッチアップだけで終わってしまい、あまり楽しいものではありませんでした。
この問題をどう解決すればいいのか、まだ良い案はありません。根本的な問題は、TinyPilotというビジネスに関わる要素が非常に多いことです。私自身、現地スタッフ2名、開発者3名、欧州の販売代理店、3Dプリント業者、電気系の外注先――これらすべてと毎週やり取りしているので、調整するだけでも相当な量になります。
できる限り仕組み化と文書化を優先していますが、どうしても私の対応が必要な例外的なケースは常に出てきます。加えて、販売に関する問い合わせやカスタマーサポート対応もありますが、こちらは現地スタッフが一部を担ってくれるようになりました。
今年の初めにWPEngine創業者のJason Cohen氏のインタビューを聞いたのですが、その中で「優れたリーダーであることの一部は、周囲の人々が成長し、より多くの責任を担えるよう支援することだ」と語っていました。この言葉を心に留め、ビジネスを数週間私なしでも回るまでに成長させるための最善の望みとしています。開発者同士が互いのプルリクエストをレビューできるようにしたことで、開発チームは成長し、より自律的になりました。現地スタッフをカスタマーサポートに巻き込んだことでも、同様の効果が期待できます。
最後に、例外的な問題が時間とともに例外でなくなっていくことを期待しています。通常、私の介入が必要になるのは、その状況に対処するための明確なプロセスがないからです。そしてプロセスがないのは、それがこれまでに起きたことがないからです。TinyPilotはまだ比較的若い会社です。開発チームが結成されたのは8ヶ月前、オフィスを構えてからは6ヶ月、初の販売代理店が加わったのはわずか2ヶ月前です。時間が経てば、新しくて驚くような出来事の割合は減り、ほとんどの状況に対して文書化された一貫した対応プロセスが整うはずだと考えています。
レガシープロジェクト
以下は、今も維持はしているものの、現在メインで取り組んでいるわけではないプロジェクトの簡単な近況です。
Is It Keto
| 指標 | 2021年9月 | 2021年10月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ユニークビジター | 23,618 | 20,321 | -3,297 (-14%) |
| 総ページビュー | 56,246 | 47,487 | -8,759 (-16%) |
| ドメインレーティング(Ahrefs) | 11.0 | 11.0 | 0 |
| AdSense収益 | $264.63 | $230.64 | -$33.99 (-13%) |
| Amazonアフィリエイト収益 | $77.42 | $27.76 | -$49.66 (-64%) |
| 総収益 | $342.05 | $258.40 | -$83.65 (-24%) |
Is It Ketoは検索結果で競合サイトに負け、緩やかな下降が続いています。残念ですが、TinyPilotから注力を移す価値はありません。
Hit the Front Page of Hacker News
| 指標 | 2021年9月 | 2021年10月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ユニークビジター | 128 | 100 | -28 (-22%) |
| Gumroad収益 | $189.14 | $75.27 | -$113.87 (-60%) |
| Blogging for Devs収益 | $27.30 | $0.00 | -$27.30 (-100%) |
| 総収益 | $216.44 | $75.27 | -$141.17 (-65%) |
ブログ講座の宣伝は何もしていませんが、先月も数人が購入してくれました。先日共同主催したインディーファウンダーのミートアップでは、参加者の一人が私の講座を受講してくれていて、初めて実際の受講生に会えて嬉しかったです。
Zestful
| 指標 | 2021年9月 | 2021年10月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ユニークビジター | 596 | 613 | +17 (+3%) |
| 総ページビュー | 1,512 | 1,426 | -86 (-6%) |
| RapidAPI収益 | $185.12 | $99.74 | -$85.38 (-46%) |
| 総収益 | $185.12 | $99.74 | -$85.38 (-46%) |
Zestfulは相変わらず裏側で稼働し続けています。ここ数ヶ月は月$100〜600の収益と好調でした。継続的なニーズを持つ顧客というより、一括で大量のパース処理をしたいユーザーからの売上が中心ではないかと見ていますが、嬉しい収益の上乗せになっています。
Zestfulの買収に関心を示していた人物からはその後連絡が途絶え、メールにも返信がなくなったので、この話は流れたようです。
まとめ
何ができたか?
- 現地スタッフをカスタマーサポートのワークフローに統合しました。
- TinyPilot Cloudの開発を中断しました。
- TinyPilot Hobbyist Kitを廃止し、サイトをVoyager中心に絞りました。
- 「Deliberate Programming」のエピソード1を公開しました。
- ソフトウェア開発に意図的練習(deliberate practice)を応用する方法を探るプロジェクトを始めました。
学んだこと
- 製品は早い段階で検証すること。
- 機能や製品が「欲しい」ことと、「お金を払ってでも欲しい」ことは別です。
- 休暇を取れるようにしたいなら、チームメイトの成長を支援しなければならない。
- チームメイトが担う責任が増えるほど、日々の業務でビジネスが私個人に依存しなくなります。
来月の目標
- TinyPilotウェブサイトのリブランディングを完了する。
- ハードウェアの準備が整い次第Voyager 2を発売できるよう準備する。
- 有料マーケティングチャネルを開拓するため、マーケティング会社またはフリーランサーに依頼する。
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