TinyPilot:14か月目
一言でまとめると
改めて収益性に焦点を戻します。
ハイライト
- TinyPilotのウェブサイトをリデザインしたところ、売上が伸びたようです。
- TinyPilotに欧州の販売代理店ができました。
- 3年かけてZestfulへの投資を回収できました(売却も検討中です)。
- 引き続き、任せられる業務は徹底的に委譲しています。
目標の振り返り
毎月のはじめに達成したい目標を掲げています。今月は次のような結果でした。
TinyPilotのEU販売代理店の初回販売を支援する
- 結果:代理店は9月6日に初回販売を達成しました
- 評価:B
8月中の初回販売を期待していましたが、残念ながら実現しませんでした。それでも、EU向けサイトの公開から10日以内に販売につなげることができました。
Voyager 2の設計を確定させる
- 結果:設計に想定以上の時間がかかっており、完了まであと1か月ほどかかる見込みです
- 評価:C
半導体不足が最後の大きな壁だと思っていましたが、電気設計で想定以上の複雑さに直面しています。そこでプロジェクトを個別の工程に分解し、それぞれに所要時間を見積もることで、全体のスケジュールと遅延が与える影響を全員で共有できるようにしました。
Refactoring Englishのサンプル章を公開する
- 結果:サンプル章はほぼ完成しましたが、まだ編集中です
- 評価:C
効果的なライティングについての本を出すとなると、読者からは当然「著者自身が上手に書けているはず」と期待されます。その分プレッシャーも感じています。サンプル章は7割ほど仕上がっていますが、公開前にもう少し推敲が必要です。
TinyPilotの数値
| 指標 | 2021年7月 | 2021年8月 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| ユニーク訪問者数 | 5,234 | 4,194 | -1,040 (-20%) |
| 総ページビュー数 | 9,730 | 8,864 | -866 (-9%) |
| 販売売上 | $23,954.64 | $30,191.04 | +$6,236.40 (+26%) |
| 法人向けサブスクリプション | $48.00 | $48.00 | $0 (0%) |
| 総売上 | $24,002.64 | $30,239.04 | +$6,236.40 (+26%) |
| 利益 | $-9,713.34 | $-10,140.95 | +$1,664.13 |
痛い数字です。これで約8,000〜10,000ドルの赤字が3か月連続です。気になるのは、先月より売上が6,000ドル増えたのに、赤字の縮小は約2,000ドルにとどまったことです。
一因は半導体不足です。2GBのRaspberry Piボードがどこも品切れのため、TinyPilotとしては容量が増えてもメリットがないにもかかわらず、ほぼ2倍の価格の4GBモデルを購入せざるを得ませんでした。さらに、ボードは販売数にかかわらず固定のスケジュールで仕入れなければならないため、在庫が想定以上に積み上がっています。
原材料以外で最も大きなコストはソフトウェア開発です。フリーランスの開発者には7月に13,000ドル、8月に11,000ドルを支払いました。チームは優秀で、その報酬に見合う働きをしてくれていますが、ここ数か月の赤字を見て、開発タスクをもっと賢く選び取る必要があると感じています。
今後数か月、TinyPilotのソフトウェア開発では、収益に直結する次の3点に絞って取り組みます。
- TinyPilotを補完するSaaSの提供
- 購入率を高めるためのウェブサイト改善
- 大口顧客へのヒアリングを通じ、大規模導入に必要な機能の洗い出し
TinyPilotサイトの改善
TinyPilotのサイトを最初に公開したとき、デザインは仮のつもりでした。後で磨き込むつもりで、小さな改善は重ねてきたものの、全体的なデザインはほとんど変わっていませんでした。
課題の一つは、サイトを任せられる腕の良い開発者を見つけることでした。6人採用してうまくいかず、7月にようやくデザインの発想を持つ開発者と出会い、8月を通して一緒に実装を進めました。その結果、サイトはよりプロフェッショナルな印象になったと感じています。


8月にTinyPilotの開発者とともにホームページをリデザインしました。
旧デザイン(左)、新デザイン(右)
明るい兆しの一つが、ユニーク訪問者あたりの売上です。通常は1人あたり4〜5ドル程度ですが、8月は7.20ドルまで跳ね上がり、前月比で60%増となりました。
もちろん、たまたまの数値だった可能性もあります。新しいサイトが効果をもたらしたことを厳密なA/Bテストで証明したわけではないからです。9月もこの傾向が続けば、より確信を持てそうです。
変更点を一つずつ見ていきます。
まず、ナビゲーションバーを調整し、ページ内のコンテンツと左端を揃えました。

特徴を紹介するブロックは、よりコンパクトにしました。スクリーンショットでは分かりませんが、少し気が散る印象のあったアニメーションも取り除いています。

レビュー欄は、ボックスを積み重ねる形式から、数秒ごとに新しいレビューが切り替わるカルーセル形式に変更しました。

最後にフッターをリデザインしました。以前はごちゃごちゃした印象でしたが、今は意図がはっきりした整理された見た目になりました。

これはあくまで第一弾です。今後はプロのデザイナーに依頼してさらに磨きをかけていく予定です。おすすめの方がいれば、ぜひ教えてください。
欧州販売代理店の追加
ここ数か月で最も大きな取り組みの一つが、ドイツの企業punkt.deとの販売パートナーシップの構築でした。同社は8月末にサイトを公開し、現在注文を受け付けています。

TinyPilot Voyagerが欧州からも発送可能になりました。
販売の立ち上がりは想定よりゆっくりです。これまで欧州のお客様には月に10〜15台のVoyagerを販売してきました。EU域内からの発送になれば配送が速くなり、価格も分かりやすくなるため、punkt.deならそれを簡単に上回れると思っていました。
TinyPilotのメーリングリスト登録者400名以上に欧州向け販売サイトを告知しましたが、購入には至りませんでした。ようやく今週1件の購入がありましたが、なぜ数が伸びないのかはまだ分かっていません。
それでも、この提携がTinyPilotにとって大きな前進になると期待しています。会社の成功に利害を共有するもう一人の起業家が加わり、さらなる市場でTinyPilotを広めてくれることを心強く思っています。
自分の時間を確保する
ここ数か月、TinyPilotを成長させる時間を確保するのに苦労していました。関係する要素が多く、チーム間の隙間を埋める作業に追われ、自分の時間がすべてそこで消えてしまうことがあったからです。
今は、使える時間ができたら売上につながる活動に充てつつ、他の人でも対応できる業務は委譲・自動化するためにも時間を確保するようにしています。
ライセンス確認の自動化
今まで自分でやっていて最も無駄に感じていた作業の一つが、ユーザーのライセンス確認でした。
ユーザーがTinyPilotを一から再インストールするにはディスクイメージが必要です。誰でも自由にダウンロードできる形にはしていません。そうすると購入する動機がなくなってしまうからです。以前のやり方では、ユーザーから注文番号をメールで受け取り、私がそれを照合して正規の顧客であることを確認し、ダウンロードリンクを送っていました。
まさに「スケールしないことをやる」の典型です。月に5〜10件程度だったため、ずっと優先度を上げずにいました。それでも余計な割り込みになりますし、すでに購入済みのソフトウェアへのアクセスをお客様に待たせてしまうのも気がかりでした。
8月にTinyPilotの開発者の一人が、Shopifyストアの購入履歴を照合するサーバーレス関数を追加し、シンプルなウェブUIも実装しました。これにより、お客様は私を介さずに、最新のディスクイメージをすぐにダウンロードできるようになりました。

以前はTinyPilotのお客様が交換用のディスクイメージが必要な際に私へメールをいただいていましたが、現在はこの手続きが自動化されています。
QAテスト
TinyPilotの販売を始めて1〜2か月ほど経った頃、不具合のあるソフトウェアアップデートを公開し、特定の条件下でキーボード入力が効かなくなる問題を起こしてしまいました。それ以来、リリース前には手動で確認するチェックリストを使い、機能を一つずつテストしています。
チェックリストは当初、5分で確認できる数項目でした。機能が増えるにつれて項目も増え、今ではリリースのテストにほぼ半日かかるようになっています。
本当はQAテストを自動化したいのですが、一部のワークフローは自動化になじみません。そこで、予備のハードウェアを使って手動でQAテストを実施し、その様子を画面収録する仕組みと手順書を整え、地元のスタッフに任せられるようにしました。
自分の作業時間を減らすだけでなく、QAを委譲することでバグをより早く見つけられるようにもなりました。以前は最終QAで見つかったバグでも、リリースを遅らせるほどではないと判断してそのまま出すことがありました。今はQAが私の手待ちにならないため、リリースの途中でもQAサイクルを回し、そうした細かな問題も修正できるようになっています。
書き続ける余裕はあるか
委譲によって生まれた時間で、重要だが緊急ではないことにより多く取り組んでいます。
- サポート上の問題を抱えたお客様だけでなく、より積極的にお客様へ連絡を取る時間を増やしています。
- 忙しいからと削ってしまっていた運動も、定期的に行うようにしています。
- 毎朝1時間の執筆も再開しました。
毎日の執筆習慣は気に入っていますが、ここ2か月のTinyPilotの売上を見ると、続ける余裕はないと感じています。時間を割ければ売上を伸ばせる可能性がある施策があるのに、時間不足で手が回らないからです。そこで、著書のサンプル章を公開した後は、TinyPilotが安定して黒字化するまで執筆の比重を落とす予定です。
既存プロジェクトの近況
ここでは、引き続き維持はしているものの、現在は主力ではないプロジェクトの近況を簡単にご報告します。
Is It Keto
| 指標 | 2021年7月 | 2021年8月 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| ユニーク訪問者数 | 39,568 | 30,439 | -9,129 (-23%) |
| 総ページビュー数 | 96,494 | 72,340 | -24,154 (-25%) |
| ドメイン評価(Ahrefs) | 13.0 | 12.0 | -1.0 (-8%) |
| AdSense収益 | $438.07 | $358.43 | -$79.64 (-18%) |
| Amazonアフィリエイト収益 | $59.65 | $43.73 | -$15.92 (-27%) |
| 総売上 | $497.72 | $402.16 | -$95.56 (-19%) |
先月、Is It Ketoをプレミアム広告ネットワークに申請したことをお伝えしました。審査には通りましたが、契約条件が気になり見送りました。一般的な広告契約でも条件は厳しめですが、それ以上に負担が大きいと感じたからです。
私の理解では、広告パートナー側は無制限にサイトの変更を要求でき、私はそれに応じなければなりませんでした。しかも少なくとも3か月間は同社の広告を独占的に掲載しなければならず、他社と話をしただけでも契約違反になる内容でした。一方で、広告ネットワーク側はいつでも私との契約を打ち切ったり、一方的に条件を変更したりできるのです。
そのため、地味ですが信頼できるAdSenseを継続しています。数値は下がっており、少なくとも一部は季節要因です。ここ半年で現れた競合に訪問者を奪われている可能性もありますが、今はTinyPilotに集中するため、あまり気にしないようにしています。
Hit the Front Page of Hacker News
| 指標 | 2021年7月 | 2021年8月 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| ユニーク訪問者数 | 109 | 393 | +284 (+261%) |
| Gumroad売上 | $218.09 | $728.90 | +$510.81 (+234%) |
| Blogging for Devs売上 | $27.30 | $0.00 | -$27.30 (-100%) |
| 総売上 | $245.39 | $728.90 | +$483.51 (+197%) |
8月に投げ銭制のプロモーションを『Hit the Front Page of Hacker News』で試しました。1週間にわたり、3ドルからの好きな価格でコースを購入できるようにしたところ、受講者数が約2倍になり、700ドル以上の売上につながりました。
この施策が、その後の通常価格での販売を勢いづけてくれることを期待していました。割引価格で購入した方がコースを勧めてくれれば、自然な広がりが生まれるかもしれないと考えたからです。しかし今のところそうはなっていません。プロモーション終了後は販売がまったくなく、口コミによる購入の連鎖は起きていないようです。
Zestful
| 指標 | 2021年7月 | 2021年8月 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| ユニーク訪問者数 | 547 | 585 | +38 (+7%) |
| 総ページビュー数 | 1,300 | 1,467 | +167 (+13%) |
| 総売上 | $620.67 | $390.80 | -$229.87 (-37%) |
先月、Zestfulの売上が急増しましたが、不正利用の可能性が高いと見ていました。ところが意外にも正規の利用で、お客様は残高を全額お支払いくださいました。
今月も別のお客様で利用量が大きく跳ね上がりましたが、こちらも正規の利用のようです。いずれも一度きりの大量処理のようですが、利用が増えているのは良い兆しです。
この2か月で、Zestfulにとって嬉しい節目を迎えました。投資を回収できたのです。
7,400ドルかけてフリーランスに依頼して初版を立ち上げ、その他の細かな費用も含めて合計8,000ドルのコストがかかっていました。8月分を含めたZestfulの累計売上は8,246ドルとなり、正式に黒字化しました。もちろん、自分自身への報酬を0円としているからこそです。時給に換算すれば、1時間あたり5セント程度にしかなりません。
最後に、8月に1社からZestfulの買収について打診がありました。収益は小さいことを正直にお伝えしましたが、自前で開発する代わりに私のソリューションを買いたいというのであれば歓迎するとお答えしました。一度打ち合わせを行い、先方から過去のデータの提供を求められました。現在、オファーを検討中とのことです。あまり期待しすぎないようにしていますが、実現すれば嬉しいボーナスになります。
まとめ
今月やり遂げたこと
- 欧州販売代理店の販売サイト立ち上げを支援した
- TinyPilotのホームページを刷新した
- QAテストを地元スタッフに委譲した
- ポッドキャスト2本への出演を確保した
- TinyPilotのライセンス確認を自動化した
- TinyPilotのメーリングリストをMailchimpからEmailOctopusへ移行した
学んだこと
- 毎日執筆する時間を確保できるほど余裕ができたものの、TinyPilotから時間を借りるにはまだ早い。
- TinyPilotの収益に直結する可能性が高い開発タスクを選び取る必要がある。
来月の目標
- Refactoring Englishのサンプル章を公開する
- TinyPilotを補完する月額制ソフトウェアの開発を始める
- Voyager 2の設計を確定させる
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