ブログのためにフリーランスの編集者を雇った話
ブログを1年続けてみて
昨年の5月にこのブログを始めました。自慢するつもりはありませんが、始めて1年も経たない昨年4月の時点では、1日あたり20人以上の訪問者が来るようになっていました。そのうち数人はスパムボットではありませんでした。新しい記事を投稿して、手持ちのSNSを総動員して読者をお願いして回った日には、訪問者数が50人に達することもありました。
読者数の規模は2017年5月に少し変わりました。目ざとい読者なら、トラフィックのグラフに現れた微妙な変化に気づけるかもしれません。

mtlynch.ioを訪れたユニーク読者数の週次推移
上のグラフからもお分かりのとおり、ブログ開設から1年近くもの間「グラフにすら表示されないほど微々たる」数字だったアクセスが、昨年5月からは週あたり9,000人を超えるようになりました。それ以降、新しい記事を公開すると、1週間で最大4万人もの訪問者が来るようになりました。
月単位で比較すると、ブログは前月比で20倍以上、2か月では450倍以上も成長しました。
| 月 | ユニーク訪問者数 | 成長率(1か月) | 成長率(2か月) |
|---|---|---|---|
| 2017年4月 | 251 | — | — |
| 2017年5月 | 5,572 | 2,119% / 22倍 | — |
| 2017年6月 | 113,121 | 1,930% / 20倍 | 44,968% / 450倍 |
何が変わったのか

2017年5月13日、寝る直前にUpworkでブログ編集者の求人を出しました。Upworkは私が普段からフリーランスの採用に使っているサイトです。継続的なポジションではなく、すでに公開済みの記事を読んでもらい、文章の弱点や改善点を指摘してもらうという、一回きりの仕事でした。
翌朝目が覚めると、すでに10人のフリーランスから応募が届いていました。その中には有望な候補が何人もいました。応募者の中には博士号を持つ人、ジャーナリスト、ライティング講師もいました。
もちろん、あまり有望とは言えない応募もありました。最も安い入札額は時給8ドルで、その応募者は自分が「ライティングを教える知識を十分に備えている」と語っていました。別のフリーランスはカバーレターの中で「編集と執筆は私の forte’s [sic]です」と書いていました。

最も優秀だった応募者はサマンサ・メイソン(Samantha Mason)という編集者でした。時給55ドルと、次に高い入札者のほぼ2倍の金額でした。しかし、彼女だけが私の文章を実際に読んだことがカバーレターから伝わってきました。彼女はカバーレターの中で、私が助動詞を入れて文を不必要に冗長にしている癖を指摘してくれました。「As you can see in the graph below(下のグラフでご覧いただけるように)」と書くところを、シンプルに「As you see in the graph below(下のグラフに見るように)」とすればよい、という具合です。
サマンサが理想的だったもう一つの理由は、彼女にエンジニアのバックグラウンドがあったことです。彼女自身もプログラマーだと教えてくれたので、ソフトウェア寄りの記事についても、より文脈を理解してくれるだろうと思いました。
その日の朝のうちにサマンサに仕事をオファーしました。午前10時までには彼女が承諾してくれました。求人を書いてから採用が完了するまで、12時間もかかりませんでした。
注:この記事自体が編集とサマンサの仕事についての内容なので、彼女自身にこの記事を編集してもらうのが適切だと感じました。なので、もし彼女に対する否定的なコメントがすべて削除されていたら、それが理由です。
なぜ編集者を雇うのか
ブログ記事を公開して反応がなかったとき、なぜ失敗したのかというフィードバックはほとんど得られません。これまで「アイデアは素晴らしかったけど、同じような文体が繰り返されて集中力が途切れ、タブを閉じてしまいました」なんてわざわざ書いてくれた読者は一人もいません。でも編集者なら、そういうフィードバックをくれるのです。
自分の文章はなかなか良いと思っていましたが、改善の余地は確実にあるとも感じていました。文体を変えることで、読者が増えたり、内容がより伝わりやすくなったりといった、目に見える効果が期待できます。
ブログ以外でも、文章力への投資は人生のさまざまな場面で役に立ちます。文章力はプレゼンテーション能力や時間管理、あるいはナイフのジャグリングのように、応用が利くスキルです。ブログの文章を良くするために学んだテクニックは、仕事で書く設計書や、友人に送るメールにも活きてくるはずです。

「君の“編集者”だって?」
編集者を雇ったもう一つの理由、これが最も重要だったのですが、友人や家族、同僚に自分のブログを実際よりも大げさに見せたかったからです。以前、Seleniumを使ったAnsibleロールのテストについて新しい記事を書いたと誰かに話しても、みんな礼儀正しくうなずいて話題を変えるだけでした。でも「新しい記事は、編集者が導入部が弱いと言うので書き直しているんだ」と言い始めると、みんな興味を示すようになりました。「君の編集者が?」
自分の間違いから学ぶ
採用から数日後、サマンサは2本のブログ記事について詳細なフィードバックを送ってくれました。それを読んだ瞬間、編集者を雇って正解だったと確信しました。自分ではまったく気づいていなかった間違いをいくつも指摘してくれたのです。最初は些細なことでした。カンマの誤用や、括弧の使いすぎ(私は文章の中に括弧を入れて、わざわざ書くほどでもない情報を詰め込む癖がありました)などです。
意外だった指摘の一つは、読者が自分と同じ前提知識を持っていると頻繁に決めつけていたことです。サマンサは、ある記事で私がSeamlessについて何の説明もなしに触れていたことを指摘しました。Seamlessはフードデリバリーサービスで、マンハッタンでは非常に有名ですが、サマンサが住むウィスコンシンではそうでもありません。記事でその名を出したとき、知らない人がいるなんて思いもしませんでした。サマンサの指摘で、ちょっと意識して馴染みのない固有名詞に補足を入れるだけで、読者を遠ざけずに済むことが多いのだと気づきました。
この話で何を伝えたいのですか?
サマンサからもらった最も価値あるアドバイスは、便利屋サービスを使ってプライベートシェフを雇った話を書いた記事へのフィードバックでした。
この話で何を伝えたいのですか? 単に事実を並べるだけならそれはできていますが、もっとできるはずです。これはクリエイティブライティングなのですから。楽しんで書きましょう。読者を笑わせ、もっと読みたいと思わせるのです。
最初に思ったのは「“物語”って何のこと? これはただ自分がやったことを説明しただけだよ」でした。その記事を書いたのは、シェフを雇った話を何人かの友人にしたところ、みんな面白がってくれて、その段取りに興味を持ったからでした。「いくらかかったの? どうやってシェフを選んだの?」といった質問です。だからブログ記事も、単にそれらの質問に答えればいいのだと自然に思っていました。
その提案を数日間頭の中で転がしているうちに、「なぜ“物語”にしてはいけないのだろう? みんな物語が大好きだ」と思うようになりました。書きたい記事のアイデアはたくさんストックがあったので、その中のいくつかを物語の形で書けないか考えてみました。
物語として語る
数週間後、Redditを見ていると、あるユーザーが壊れたパスワードを投稿しているのを見つけました。そのパスワードは、彼らが暗号資産で保有している大金へのアクセスを守るものでした。壊れたパスワードは事実上お金を失ったことを意味するので、苛立ちから投稿したようでした。私は正しいパスワードを復元する巧妙な方法を思いつき、それを使って彼らのお金を盗みました。心配しないでください。ちゃんと返しました。
使った手法は珍しいものだったので、その後1週間ほど、どうやってブログにまとめようか考えていました。そして気づいたのです。これはサマンサが話していた「物語」の一つになり得ると。
木曜の夜、4時間ぶっ通しで一気にその記事を書き上げました。これほど楽しくブログ記事を書いたことはありませんでした。内容はおどけていて、自虐的で、皮肉の効いたポップカルチャーの引用も入っていました。それらはそれまでの私の記事にはなかった要素でした。物語形式にすれば読者を引きつけやすくなることは分かっていましたが、書くこと自体がこれほど楽になるとは思ってもいませんでした。
翌朝、私は「How I Stole Your Siacoin」という記事を公開し、RedditとHacker Newsという2つの人気リンク共有サイトにリンクを投稿しました。その日の終わりには、Redditの2つのサブレディット、/r/siacoinと/r/cryptocurrencyで 역대1位の得票数を獲得していました(ただし数日後、/r/CryptoCurrencyでは一枚の看板の写真に抜かれて1位から陥落したのは不名誉なことでした)。Hacker Newsでも十分な支持を集め、フロントページに掲載されました。テックブロガーにとっては羨ましい快挙です。

「How I Stole Your Siacoin」を公開した日のブログ訪問者統計
記事についたコメントについても、面白いことに気づきました。多くが、私の文章のスタイルを具体的に褒めていたのです。

「How I Stole Your Siacoin」の文章スタイルを称賛する肯定的なコメント。このコラージュを作ることは、ブログ記事のためならナルシシズムには当たりません。
私は普段からよくRedditを見るのですが、投稿の文章を褒めているユーザーをあまり見た記憶がありません。もっとも、自分に向けられた称賛でなければ気づかないだけかもしれませんが。あまりにも分かりやすく編集者を雇った成果が表れていたので、サマンサがこっそりこうしたコメントを投稿しているのではないかとさえ疑いました。[編集者注:この疑惑を裏づける証拠はありません。]
ビフォー・アフター
「たまたま1本当たっただけだろう」と思っているかもしれません。少なくとも、私自身はその記事が予想以上に注目を集めた直後はそう思いました。しかし次に公開した記事も同じように好評でした。もちろん書く記事すべてがヒットするとは思っていませんが、専門家のフィードバックを受けたことで、以前は不可能だった人気が可能になったことは明らかです。
サマンサと仕事を始める前に公開した3本の記事と、その後に書いた3本の訪問者数を比較すると、その差は一目瞭然です。
編集者と仕事をする前
| 記事 | 読者数(公開後24時間) | 読者数(公開後30日間) |
|---|---|---|
| 「Automated Prosper Investing with ProsperBot」 | 21 | 95 |
| 「Adventures in Outsourcing: Cooking with TaskRabbit」 | 15 | 88 |
| 「Building a Homelab VM Server」 | 414 | 1,103 |
編集者と仕事を始めてから
| 記事 | 読者数(公開後24時間) | 読者数(公開後30日間) |
|---|---|---|
| 「A Beginner’s Guide to Mining Siacoin」 | 709 | 27,871 |
| 「How I Stole Your Siacoin」 | 38,808 | 62,425 |
| 「GreenPiThumb: A Raspberry Pi Gardening Bot」 | 27,908 | 38,683 |
かかった費用
前述のとおり、当初は記事の編集を継続的に誰かに頼むつもりはありませんでした。1本あたり約110ドルでは、新しく書くブログ記事すべてをプロに編集してもらうにはコストが高すぎます。そうではなく、一度きりで文章全体のレビューを受け、そのテクニックを自分で応用したいと考えていました。
この計画はうまくいったと感じています。サマンサと仕事を始めてから書いた3本の記事のうち、彼女が実際に編集したのはGreenPiThumbの記事だけです。残りの2本は、彼女の過去のフィードバックを基に自分で編集しました。
サマンサの許可を得て、彼女にお願いした仕事の正確な費用と、各記事に対してもらったフィードバックを以下に掲載します。
| 記事 | 費用 | フィードバック |
|---|---|---|
| 「Running Sia on a Synology NAS via Docker」 | 110ドル(2時間 × 55ドル) | 詳細なフィードバック |
| 「Adventures in Outsourcing: Cooking with TaskRabbit」 | 110ドル(2時間 × 55ドル) | 詳細なフィードバック |
| その他複数の記事 | 55ドル(1時間 × 55ドル) | 概要のフィードバック |
| 「GreenPiThumb: A Raspberry Pi Gardening Bot」 | 110ドル(2時間 × 55ドル) | 詳細なフィードバック |
| 合計 | 385ドル(7時間 × 55ドル) | — |
実は、サマンサに騙されたのです。彼女のフィードバックがこれほど効果的だとは思っていなかったので、今では継続的に彼女と仕事をしたいと思うようになりました。すべての記事を頼む余裕はありませんが、定期的にチェックしてもらうつもりです。戦略は変わりません。編集をサマンサに丸投げするのではなく、記事ごとのフィードバックから学び、次は別の改善点に集中するというやり方です。
編集者とうまく仕事をするためのヒント
もしあなたがブロガーで編集者を雇うことを考えているなら、私の経験に基づいたいくつかのアドバイスを紹介します。
質にはお金を払う
Upworkのようなフリーランスサイトに投稿すると、能力に関係なくとにかく仕事を取りたい人から安いオファーが必ず来ます。安い編集者に飛びついてお金を節約しようとしないでください。
わざわざお金を払って文章を批評してもらうのであれば、優れた指導をしてくれる専門家を雇いましょう。手術が必要なとき、一番安い金額を提示してメスを持って近づいてきた人に頼みますか? 文章への専門的なフィードバックへの投資は、長い間リターンをもたらしてくれます。だからこそ、しっかり投資すべきです。
慎重に選考する
フリーランスサイトでは、候補者の過去のクライアントからの評価やレビューを見ることができます。自分にとって重要だと思う資質を持っているかどうか、レビューをよく読んで見極めましょう。少なくとも10件以上の仕事を完了し、成功率が90%以上の応募者を優先してください。たとえばサマンサは成功率99%、完了件数39件で、これは彼女の質の高さを示す優れた指標です。[編集者注:鋭い指摘です。]
応募者にはカバーレターの提出を必須にし、注意深く精査しましょう。編集者にとって、カバーレターはそれ自体が仕事のサンプルです。誰にでも送っている定型文を送ってきたのか? それともあなたが助けを必要としている分野に合わせてカスタマイズしてきたのか? カバーレターの文法は完璧であるべきですし、言葉遣いは明確で理解しやすいものであるべきです。
テーマへの理解がある人を探す
自分の文章を理解し、評価してくれる編集者を見つけましょう。あなたと同じレベルの専門知識を持っている必要はありませんが、想定する読者と同程度のテーマへの馴染みは持っているべきです。お金を払わなくてもあなたのブログを読んでくれそうな人、というイメージです。
ポップミュージックについてのブログを書いているなら、プロの音楽評論家を雇う必要はありませんが、あなたの専門用語や言及を理解できる程度に音楽への愛着がある人を探すべきです。同様に、ママ向けブログを書いているなら、編集者に児童発達の修士号を求める必要はありませんが、少なくとも子どもの概念くらいは理解している人であるべきです。
簡単なミスは自分で直す
専門家の時間に対して高い料金を払っているのですから、自分で見つけられるような単純なミスにその時間を浪費させるのはもったいないことです。文章を編集者に送る前に、GrammarlyやMicrosoft Wordのようなツールでスペルや文法の誤りをチェックしましょう。
校正プロセスの一環として、記事を声に出して読むことも取り入れましょう。編集者に勧められてやってみたのですが、不注意なミスや不自然な言い回しを見つけるのに驚くほど効果がありました。
個人的に受け取らない
編集者が批評しているのはあなたの文章であって、あなた自身ではありません。文章がとてもパーソナルなものであれば、両者は同じもののように感じられるかもしれませんが、防御的になったり自尊心を挟んだりせず、フィードバックを客観的に受け止めることで、編集者の指摘から最大限のものを得られます。
すべての指摘を受け入れる必要はない
前のアドバイスにもかかわらず、最終的にはあなたの文章なのだということを忘れないでください。どのフィードバックを受け入れ、どれを見送るかは自分で決める必要があります。
[編集者注:このアドバイスは無視してください。]
編集者から提案された変更が、より明確で洗練されていると分かりつつも、自分の声らしくないと感じることが何度かありました。そういうときは、提案に近づけるように書き直してみます。ただ、悩んだ末に、やはり自分が書いたままの方が良いという結論に至ることもあります。
チェックリストを作る
新しいブログ記事の初稿を書き終えるたびに、編集者が前回レビューしてくれた記事の指摘事項を見返しています。繰り返してしまう間違いについては、執筆の最後に確認するための別途のチェックリストを持っています。私のチェックリストには「『really』という単語を使いすぎていないか確認する」といった項目がありますが、あなたも自分なりのパターンを見つけてリストに加えてみてください。本当に。
この記事の編集に時間を割いてくれた編集者のサマンサ・メイソン(Samantha Mason)に特別な感謝を。
注記:サマンサは現在、新規の編集依頼を受け付けておりません。
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