私が外注した一番バカな仕事
原文は Michael Lynch により に公開されました。 このブログを購読する

家事を外注することに、私はこの上ない満足感を覚える。友人たちはみんな、私が「自由な時間をもっと大切にして、雑用は人に任せろ」と力説するのを聞かされている。だが、言うことを聞く友人はほとんどいない。おそらく、39ドルのキーボードを掃除するために96ドル払ったという話を知っているからだろう。
すべてはライティングの授業から始まった
2016年当時、私はマンハッタンの小さなワンルームに住んでいた。月曜の夜、パソコンの前で短編小説を書こうと画面をにらんでいた。高校以来まともに小説なんて書いていなかったが、最近ライティングのクラスに申し込んだばかりだった。最初の課題の締め切りは翌朝9時だった。
何でもいいから気を紛らわせたくて、私はキーボードに目が釘付けになった。ひどく埃っぽく、ベタベタに汚れている。今までなぜ気づかなかったのだろう?同じキーボードを6年間使い、週に20〜30時間は叩き続け、その前で毎食を食べていたのに。

掃除が必要な私のキーボード
子どもの頃、両親はよくキーボードのキーを全部外して、消毒用アルコールで徹底的に洗っていた。今でもみんなそんなことをしているのだろうか?
私もやるべきだ!
いや、そんなことをしたら小説が永遠に終わらない。湧き上がってきた潔癖へのこだわりが、ただの先延ばしであることは分かっていた。でも、それを振り切る唯一の方法は、「汚れたキーボードは今週中に何とかする」と自分に約束することだった。
とにかく全部外注だ
当時、私はGoogleでそれなりに稼いではいたが、常に時間に追われていた。シアトルに住む友人が、TaskRabbitというアプリで、テレビの壁掛けや買い物代行のような単発のちょっとした仕事を人に頼んでいると教えてくれた。

TaskRabbitは、ちょっとした仕事や雑用をフリーランスに依頼できるサービス
早速登録してアプリを眺めてみた。驚いたことに、TaskRabbitには「古いキーボードの徹底洗浄」なんて仕事のテンプレートはなかった。そこで「小規模な清掃」として依頼を出し、説明欄に仕事内容の詳細を書いた。キーボードだけでTaskRabbitの最低利用時間である1時間を満たせるか不安だったので、シンクに溜まった洗い物も一緒にお願いすることにした。
キーボード清掃経験15年以上必須
私のTaskRabbitの依頼に応募してきた人たちは、困惑していた。
一人は「キーボード掃除の経験はゼロであることを正直にお伝えしておきます」と言ってきた。大丈夫だと伝えた。キーを外して消毒用アルコールで拭いて、戻すだけだから、と。
別の応募者は妊娠中で、この仕事で重いものを持つ必要があるか確認してきた。私のはそういう重いものじゃない、35ポンド(約16kg)もしない、イマドキの洒落た軽いキーボードだと約束した。
そんな中、Jaclyn Sからオファーが届いた。彼女はこの仕事にこの上ない自信を持って臨み、持参すべき道具以外に質問はなかった。20分もしないうちに、翌日の午後3時に依頼が確定した。

キーボード掃除の準備万端なJaclyn S
最初のつまずき
Jaclyn Sから約束の数時間前にメッセージが来た。午前の仕事が想定外に膨らんで10時間かかることになったので、午後3時には間に合わないという。その日の夜9時か、翌日の午後3時にリスケできないか、とのことだった。

予約に間に合わない理由を説明するJaclyn S
正直、ムッとした。Jaclyn Sは、マンハッタンでも指折りのトレンディなエリアに住む若い男の私に、土曜の夜にキーボード掃除を眺める以外にやることがないとでも言いたいのか?
ムッとしたのは、図星だったからだ。私は9時で大丈夫だと返事をし、彼女の到着を待った。
時系列
Jaclyn Sは午後8時30分過ぎに到着した。その夜の顛末はこうだ:
午後8時35分:5分経過
Jaclyn Sをキッチンに案内する。シンクには数日分の汚れた食器が溜まっている。シンクの横のテーブルには、キーボードと綿棒、ペーパータオル、消毒用アルコールのボトルが置かれている。予備のオフィスチェアを転がしてきて、キーの外し方を見せ、「何かあればキッチンの壁の向こうにいるから」と伝える。
午後8時36分:6分経過
寝室兼リビングの机に戻ると、キッチンで水道が勢いよく出て、皿をこする音が聞こえてくる。幸先はいい。
午後9時:0.5時間経過
水道が止まり、キーボードからキーを外すあの独特のパチパチという音が聞こえてくる。すべて順調だ。
午後9時30分:1時間経過
よし、キーボードに取りかかって30分。もうすぐ終わるはずだ。
午後10時:1.5時間経過
もうすぐ、のはずだ。
午後10時15分:1.75時間経過
キッチンから聞こえてくる音は、どこか慌てた様子で、何かやらかしたのに助けを求められずにいる人のように聞こえる。キーを戻すのに手こずっているのだろうか?何かが壊れて、慌てて直そうとしているのか?考えすぎかもしれないが。
午後10時30分:2時間経過
見に行って、何に手間取っているのか聞くべきだろうか?そうしたい衝動に駆られるが、同時に強烈な罪悪感に襲われる。私のせいで、彼女は労働13時間目に突入し、夜遅くまでキッチンに閉じ込められてキーボードを磨いているのだ。自分でやるのが面倒だった馬鹿一人のせいで。
午後11時:2.5時間経過
トイレに行くついでに、こっそりキッチンを覗いてみる。キーの大半はまだキーボードの外に出たままだが、Jaclyn Sが私とテーブルの間に座っていて、ほとんどよく見えない。
いつかは終わるはずだ。成り行きを見守ることにした。
午後11時30分:3時間経過
もしこれが永遠に終わらなかったらどうしよう?
Jaclyn Sがキーボードを掃除している横で、私は眠らなければならないのだろうか?何年も経ったらどうなる?私は結婚して子どもができ、「なぜキッチンに住み着いて、愛しのMicrosoft Natural Ergonomic Keyboard 4000を永遠に磨き続ける女性がいるのか」を説明しなければならなくなるのだろうか?
午前0時:3.5時間経過
Jaclyn Sがキッチンから誇らしげに、ピカピカになったキーボードを抱えて出てきた。お礼を言って見送る。キーボードを繋いでみると、何の問題もなく動いた。
請求書
Jaclynによる3時間半のキーボード清掃、最終的な請求額は95.55ドルだった。

キーボード清掃を依頼したTaskRabbitの領収書
好奇心から、そのキーボードを新品でいくらで買ったか確認してみた。38.89ドルだった。

キーボードを購入した際のAmazonの領収書
私は39ドルのキーボードを掃除するのに96ドルを費やしたのだ。
そこまで馬鹿げた話でもない
この話を友人にすると、多くの人が得意げにこう言った。「いや、俺ならキーボード掃除に100ドルなんて絶対に無駄にしないね。自分でやるよ」。実際には、彼らも自分で掃除することで100ドルを無駄にしているのだ。ただ気づいていないだけで。
何をするにも暗黙のコストがかかる。自分の時間の価値を1セント単位で正確に計算することはできないかもしれないが、同じ作業を他人から頼まれたらいくら要求するかを考えれば、おおよその見当はつく。時給30ドルでキーボード掃除をして稼ごうと思わないなら、時給30ドルを節約するためにキーボードを自分で掃除するのも非合理的だ。
あの運命のキーボード掃除の当時、勤め先は私に十分な給料を払ってくれていた。貴重な自由時間を犠牲にして誰かのキーボードを掃除するなら、時給100ドル以上はもらわないと割に合わない。
とはいえ、物の日常的な手入れのコストが、その物自体の価値をはるかに上回るとなれば、明らかに何かがおかしい。では、何が間違っていたのだろうか?
学んだ教訓
外注はスケールダウンしない
仕事を手配するために費やした時間と、気の毒な女性がキッチンにほぼ4時間も缶詰になっていることが気になって失われた集中力を考えると、この作業を外注する方が、自分でやるより多くの時間を食った。
どんな外注でも、仕事の定義、候補者探し、作業の管理といった摩擦コストがかかる。小さく一回きりの仕事では、その摩擦コストが仕事全体に占める割合が膨らみ、外注するメリットを打ち消してしまうことがある。
研修にもっと投資する
キーボードは確かにしっかり掃除する必要はあったが、3時間もかける必要はなかった。3時間というのは、糖蜜のタンクに浸けた後で掃除を頼んだくらいの時間だ。
彼女は各キーを必要以上に丁寧に洗ったのかもしれない。あるいは、キーボードを元に戻すのに手こずって、助けを求めるのをためらったのかもしれない。事前にもっと指示を出し、YouTubeを見ても私に聞いてもいいんだよと伝えておけば、どちらの落とし穴も防げたはずだ。
いつでもCraigslistがある
キーボードの掃除が買い替えより高くつくかもしれないことは最初から分かっていた。だが、私が思いついた唯一の代替案は、まだまったく使えるキーボードを捨てて、同じモデルを新品で買い直すことだった。
もっと無駄の少ない解決策は、新しいキーボードを買って、古い方をcraigslistや地域のbuy nothing groupのようなオンラインコミュニティで無料で譲ることだっただろう。
カバーアート:Loraine Yow
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