虚栄の指標:より良い人生の目標を選ぶ方法
原文は Julian Shapiro により に公開されました。 このブログを購読する
もし人生を巻き戻して、今いる場所まで最短距離でたどり直せるとしたら、どれほど膨大な時間を間違ったことに費やしてきたかがわかるだろう。
避けられないと言う人もいる。自分を見つけるためにはたくさん寄り道をする必要がある、と。だがそれは半分しか正しくない。間違ったことに取り組んでいるとき、それが起きているまさにその瞬間に気づく能力は、鍛えることができるのだ。
この考え方はスタートアップの世界から来ている。起業家たちは、注力すべきでない間違った指標をバニティメトリクス、つまり「虚栄の指標」と呼ぶ。たとえば、ウェブサイトの訪問者数は虚栄の指標だ。本当に価値があるのは、そこから実際に商品を買ってくれた人数だ。
大胆な人は内面に目を向け、自分自身の個人的な虚栄の指標を見つけ出す。自分がどんな物差しで生きているのかを点検するのだ。そうすることで、間違った道を避けられる。
例を二つ挙げよう。
- 教育:大人にとって、本をたくさん読むことは定番の虚栄の指標だ。年に50冊読めば何かご褒美がもらえるかのように振る舞う。そうではない。報酬が得られるのは、効率よく学び、面白いものを作ったときだ。読書はそのための一つの手段にすぎない。読書に費やす時間を最大化するのではなく、読書によって得られる能力を最大化すべきだ。
- 人間関係:友達が多いことも、気分を良くしてくれる指標だ。問題は、友達のほとんどが本当の友達ではないことだ。彼らは知り合いにすぎない。本当の友達とは、あなたの声が聞きたくて何の前触れもなく電話をかけてくる人だ。午前3時に車を飛ばして救急病院まで連れて行ってくれる人だ。
間違った指標に二度と囚われない方法がある。この記事で紹介するのはまさにそれだ。残りの人生をより有意義に使うために。
虚栄の指標を見抜く方法
虚栄の指標を克服する第一歩は、それを見抜くことだ。賭け金は大きい。虚栄の指標にこだわることは、幻想の世界で生きることに等しい。
虚栄の指標とは次のようなものだ。
- 本当に満たされる大切な目標の手前に現れる、中間的な目標である。
- 本当の目標よりも達成するのが簡単である。
- 社会から頻繁に奨励される(SNSで読んだ本の冊数を投稿するとたくさんの「いいね」が付き、虚栄の指標を助長する見栄えの良さが強化される)。
この記事では、今あなたが注目している目標が本当に価値あるものかどうかを見極めるために、三つのフレームワークを使う。
- ゴールパス:何かを生み出し、変化を起こす目標。
- 能力のスペクトラム:自分の能力を示す目標。
- 美徳のスペクトラム:自分の美徳を示す目標。
一つずつ見ていこう。
1. ゴールパス:変化を起こしたいとき
目標が何かを生み出すことや、何かを変えることにあるなら、私がゴールパスと呼ぶフレームワークを使う。たとえば、友情を深める、新しい仕事を得る、オーディエンスを作るといったことが「生み出す」「変える」にあたる。
ゴールパスのフレームワークでは、まず紙に一本の線を引く。
その線上に、最終目標に到達するまでに必要なステップを並べていく。たとえば、成功するサイドプロジェクトを立ち上げることが最終目標だとすると、道筋はこんなふうになるだろう。
- 作業時間
- 完了したタスク数
- プロジェクトの主要部分の進捗
- プロジェクトの完成
- 望んだ成果の達成
では、ニュースレターを育てる場合のゴールパスはこうなる。
- ウェブサイトを訪れる人数
- 購読登録する人数
- メールを開封する人数
- メールを読む人数
- メール内のリンクをクリックして行動する人数
上の例の中にある虚栄の指標がわかるだろうか。私たちが狭い視野で囚われがちな虚栄の指標は、たいてい道筋の序盤に現れる。なぜなら、ウェブサイト訪問やメール登録といった最初のステップは、最終目標から最も遠いからだ。こうした初期のステップを過剰に最適化しても、その後に登録し、読み、クリックしてくれる人が少なければ、リターンは極端に目減りしていく。
初期のステップにこだわるべき唯一のケースは、それが次のステップへの進行を妨げるボトルネックになっているときだけだ。ボトルネックでないなら、たいていは80/20で済ませて先に進むべきだ。
以下では、箇条書きの一つひとつがゴールパスを表している。矢印は最終目標へ向かう進展を示す。虚栄の指標に囚われた友人たちが、最初の数段階から先へ進めずにいることに注目してほしい。
お金
- 所有物 → 収入 → 純資産
- 調達したベンチャーキャピタル → 売上 → 利益
仕事
- 福利厚生 → 社内文化 → 従業員の充実感と帰属意識
- 従業員数 → 売上成長率 → 利益成長率
政治
- 話題性 → 得票数 → 権力 → 変革 → 新たな合意
健康
- ジムでの滞在時間 → 運動の持久力 → どれだけ健康を実感できているか
- 友達の数 → 友達の結婚式に招待される割合
自分が目標に向かう中間ステップで立ち止まっていないか、定期的に正気かどうかをチェックしよう。
時間と資源
もう一度、ゴールパスの図を見てみよう。
時間と資源は、ステップへと変換される資産だ。だからこそ、常に道筋のいちばん最初に位置する。これが意味することは大きい。時間と資源は常に虚栄の指標なのだ。
人は「徹夜で仕事した」や「ビジネスコーチに10万ドル払った!」と自慢する。これらは最悪の虚栄の指標だ。道筋の最初の最初の一歩でしかないのだから!それらは成果の質や量を必ずしも示さない。時間や金を問題に注ぎ込むことなど、誰にでもできる。だが、時間と金を効率よく最終目標へと転換するには規律が必要だ。もしそれを目指すのであれば、の話だが。
人生は「時間を投入すること」ではない。結果を出し、その過程を楽しむことだ。
2. 能力を示したいとき
ときには、目標が何かを生み出したり変えたりすることではない場合もある。自分の能力を周囲に示すこと自体が目標になるのだ。
たとえば、起業家としての手腕を示すためにMBAを取ったり、影響力を示すためにTwitterで認証バッジを得たりする。これらの目標は、私が能力のスペクトラムと呼ぶ第二のフレームワークに属する。能力のスペクトラムは、能力を正確に反映していない肩書きを見抜くのに役立つ。
よくある紋切り型のプロフィールを例にしてみよう。
“Forbes 30 Under 30。ハーバードMBA。Instagramフォロワー100万人。”
これらはどれも虚栄の指標だ。なぜなら、どれもごまかしが効くからだ。シグナルとしての力がまったくないという意味ではないが、額面通りに受け取ってはならないということだ。ごまかしが可能なシグナルは、背後にある能力を完全に表してはいない。だから割り引いて考える必要がある。
一つずつ分解して、どういうことか説明しよう。
Forbes 30 Under 30
- この恣意的な賞は、業界におけるあなたの重要性を示そうとするものだ。
- 問題点:賞はロビー活動や政治的な立ち回りで手に入れるのが意外と簡単だ。また、賞は逆選択にも悩まされる。審査員はすべてを見ているわけではない。
- では代わりに何を誇るべきか。ごまかしがより難しく、だからこそより代表性のある肩書きがある:データに裏付けされたランキングだ。たとえば、北米で従業員レビューが最も高いCEOであるとか。そうすればあなたの価値を客観的に示せる。あるいは、自社の月次利益成長率を公開すれば、成功するビジネスを築いていることは誰の目にも明らかだ。
ハーバードMBA
- この肩書きは、数ある資質の中でもビジネス感覚を示そうとするものだ。立派な経歴ではあるが、全体像を物語ってはくれない。
- 問題点:ハーバードのMBAを取得するのは難しく、確かにシグナルとしての力はあるが、誰の能力や経験を正確に表すものでもない。恣意的な肩書きはロビー活動で手に入ることもあるし、こうした高額なプログラムは単にどれだけ時間と金を持っているかを示すだけの場合もある。さらに、肩書きは「試験対策」という問題も抱える。出題されるとわかっている問題に最適化するのは簡単だが、人生が実際に投げかけてくる問題はそうではない。学位は、教室の外でどれだけ優れた実務家になれるか、どれだけ優れたリーダーになれるかについては何も語らない。
- ごまかしが難しいもの:MBAをひけらかしてビジネス感覚を示したいのであれば、ごまかしが難しい代替指標は、あなたがコンサルや創業で関わった企業の売上にどれだけインパクトを与えたかだ。
Instagramフォロワー100万人
- この数字は、影響力と人気を示そうとするものだ。
- 問題点:フォロワーは買うことができるし、ボットの可能性もあるし、単にトレンドに乗っているだけかもしれない。
- ごまかしが難しいもの:フォロワー数ではなく、エンゲージメント率や行動を促す力が、実際の人々があなたの成果を気にかけているかどうかを反映する。
これが能力のスペクトラムの図だ。このスペクトラムにはステップがない。順序ではなくグラデーションだからだ。能力のスペクトラムは、シグナルがあなたの能力をどれだけ忠実に表しているかを測る。
ごまかしやすい実績は、能力を正確に表すことよりも、労力の少ない見栄えを優先する。だからこそ、それらは虚栄の指標なのだ。優秀な人を感心させ、自分の仕事を人生を超えて残したいのであれば、ごまかしが難しい実績を求めるべきだ。
ごまかしが難しい実績には共通点がある。価値あるアウトプットを生み出すということだ。たとえば、MBAの取得や賞の受賞は何のアウトプットも生まないが、人々が本当に楽しむコンテンツを作ること、つまり高いエンゲージメントを得ることはアウトプットを生み出す。
要するに、手っ取り早く稼ぐ以上のことがしたいなら、肩書きではなく、アウトプットをシグナルにしよう。聡明な門外漢や専門家は、肩書きの向こう側を見透かしてあなたのアウトプットに注目する。そして彼らこそ、あなたが共に働きたい、あなたのアイデアに投資してほしい、そして周囲から尊敬されている人たちだ。
誰かに感心してもらおうとするときは、一度立ち止まって、自分が本当に大切にしたい相手にアピールしているのか自問するのが賢明だ。
(きらびやかな肩書きを求めざるを得ないことも多いのは承知している。キャリアを進めるために必要な場合もある。避けられないものは避けられない。だが、そうした虚栄の指標との付き合い方は変えることができる。)
3. 美徳を示したいとき
目標が分類される最後のカテゴリーが美徳のスペクトラムだ。このスペクトラムは、あなたが自分と結びつけている美徳に対して、どれだけ本気で向き合っているかを測る。
たとえば、政治的な問題についてツイートする行為を考えてみよう。内部告発者であるか、速報を共有しているのでない限り、支持や反対をツイートしてもインパクトはたいてい小さい。スペクトラムの正反対の極には、政策に影響を与えるために選挙に出馬するといった、より大きなインパクトを生む行動がある。それは非常に困難で、ほとんどの人にとって非現実的だが、より高い本気度を示す。
要するに、何かに対してどれだけ本気で気にかけているかは、どれだけ意味のある変化を生み出そうとしているかに反映される。
皮肉たっぷりのツイートを投稿しても、たいてい誰の考えも変えられない。得られるのは、同じように労力をかけない美徳シグナリングをする人たちからの喝采だけだ。そんな人たちからの称賛は必要ない。
美徳を示すとき、あなたは美徳のスペクトラムのどこかに位置することになる。
美徳のスペクトラムが先ほどの能力のスペクトラムと違うのは、本気度を測るのにごまかしやすさではなく労力を使う点だ。一つのテーマが浮かび上がってくる。虚栄の指標は、本物であることの対極にあるのだ。
労力の少ない美徳シグナルを、より労力の大きいものへと変えていく例を二つ見てみよう。
- 街なかのポイ捨てについて愚痴を言う → それについて政治家にツイートする → (A)ボランティアグループを作る、あるいは(B)すべての政治家が注目し行動せざるを得なくなるようなデモを企画する
- Twitterで皮肉を込めて吊し上げる → 建設的に教育する → 問題について啓発するキャンペーンを展開する → 根本原因に対処するプログラムを作る
行動に多くの労力が伴うとき、あなたは自分の時間、評判、資源を賭けて、真剣に変化を生み出そうとしている。
例を見てみよう。Twitterユーザーがフォローすべきアカウントを推薦するとき、その推薦は自分と似た人たちに偏っていることがよくある。フォロワーは、より多様性を求めて思慮深く呼びかける。そうした指摘の仕方には二通りある。
- 低労力:投稿者の偏りをただ指摘するだけ。これは通りすがりのツイートだ。
- 高労力:なぜ改善すべきなのか理由を説明し、多様なアカウントをフォロー先として提案する。
低労力な指摘に慣れた人は、「でも、問題を指摘して注意を喚起するだけで十分だ、認知が広まるのだから」と考えるかもしれない。確かに、認知は役に立つ。何もしないよりは間違いなくましだ。だが、ただ注意を喚起するだけなのは、取りうる中で最も労力の少ない行動だ。それは、校庭で怪我をした子を指さして周囲に見せびらかすようなものだ。立ち上がるのを手伝う代わりに。もし貢献できる立場にあるなら、実際に変化を生み出すために、なぜもう少しだけ踏み込まないのか。
さらに悪いことに、慢性的に低労力な行動ばかりしていると、自分は意味のあるインパクトを与えており、やるべきことはすべてやったと思い込んでしまう。そうなると、実際に本当の仕事をする人が足りなくなってしまう。
要するに、低労力なやり方で行動するたびに、あなたの目的は問題解決ではないのだと周囲に発信してしまうリスクがある。むしろ、自分の美徳をひけらかそうとしているように見えるのだ。指さしクラブの外にいる人々はそれを見抜いてあなたを軽視する。問題を起こした側も学ばない。ただ闘争か逃走かのモードに追い込まれるだけで、意味のある変化はほとんど生まれない。
虚栄の指標を避けるには
今週あなたがしたことすべてに、多少なりとも虚栄は含まれている。目指すべきは、その虚栄に流されて本当の目標から外れないようにすることだ。昨日何時間働いたかや、ツイートが何件の「いいね」を稼いだかを誇らしく思うなら、自分は正しい指標を誇っているのか自問してみよう。
虚栄は、有能な人々から見てあなたを本物ではない人物に見せるだけでなく、あなたの時間を大きく奪う。PRやベンチャーキャピタル調達を過剰に最適化した企業は、しばしば失敗に終わる。フォロワー数をやみくもに増やしたインフルエンサーは、Tシャツ100枚すら売ることができない。
後になって「あのとき気づいていれば」と思うまで待つ必要はない。今この瞬間にもクリアな視点は持てる。そのためには、重要でない目標に執着しないことだ。だから、ある指標に囚われていると気づいたら、自分にこう問いかけてみよう。
- 自分は美徳を示そうとしているのか? そうなら、インパクトのある行動に集中しよう。さもなければ、短期的な社会的承認のために長期的な変化を手放すことになる。
- 自分は能力を示そうとしているのか? そうなら、ごまかしが難しい価値創造に集中しよう。さもなければ、あなたの仕事は優秀な人々を感心させられず、長続きもしないだろう。
- 自分は成果を追い求めているのか? そうなら、ゴールパスの初期ステップに囚われないようにしよう。さもなければ、最終目標にたどり着けないかもしれない。
この記事を一文に要約するとこうなる。目標を鵜呑みにして引き継ぐな、必ず正気かチェックしろ。社会に丸投げするな。社会はデフォルトで虚栄の指標を優先する。なぜなら、怠け者でも達成できるからだ。
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