2021年に読んだ本
⭐️ = A masterpiece / 😍 = I loved itV.
トマス・ピンチョン
口をつぐんで愛せ、ケツを痛めることも触れ回ることもなく手を貸せ。クールでいろ、でも気にかけろ。
この本はとにかく過剰だ……正直、点数なんてつけられない。前半は楽しんで読んでいた。でも途中から……そう、ピンチョンが本当のピンチョンになり始めて、こう気づくのだ。
- 何もつじつまが合わない
- すべてが完全にばかげている
- 同時に、すべてが何か深い意味を持っているように思える(あるいはそうではないのかもしれない、誰にもわからない)。しかし何よりも――
- 自分には絶対に理解できない、ということだ
人生のたった一つの教訓、それは人生には、人が正気を保ったまま一生のうちに認められるよりもはるかに多くの偶然があるということだ。
マザーレス・ブルックリン
ジョナサン・レセム
いつか名前を「黙れ」に変えて、みんなの手間を省いてやるんだ。
トゥレット症候群を抱えた主人公が活躍する、いいミステリだ。アイデアや仕掛けがたくさん詰まっていて(これまで読んだ中で一番笑った本の一冊『思考ギャング(The Thought Gang)』を思い出した)、間違いなく平均以上の出来だった。
誰がために鐘は鳴る
アーネスト・ヘミングウェイ
世界は素晴らしいところだ、戦う価値がある。そして去るのがとてもつらい。
とてもいい作品だった。ただ、ヘミングウェイの最高傑作はやはり短編だと思う。
凍(Gargoyles)
トーマス・ベルンハルト
認めまいとすることは間違っている(……)すべてが根本的に病んでおり、悲しいという事実を。
暗い。そして美しい。でも、やはり暗い。
前半は、第一次世界大戦後のオーストリアを往診して回る医師とその息子の旅の話で、後半は患者の一人であるザラウ侯爵による200ページにわたる独白だ(そう、200ページの独白だ)。前半は読むのが気が滅入るほど暗いが、筋は追いやすい。後半はまったく別物だ。ザラウ侯爵の独白を読んでいると、狂った男の思考の奔流を目の前で聞かされているような気分になる。ただ、ところどころに素晴らしく美しい文章や、人間の置かれた状況についての洞察が光る。
P.S. この本のイタリア語版のタイトルは『Perturbamento』だ。
銃・病原菌・鉄 ⭐️
ジャレド・ダイアモンド
要するに、ヨーロッパによるアフリカの植民地化は、白人至上主義者が思い込んでいるような、ヨーロッパ人とアフリカ人の民族そのものの違いとは何の関係もなかったのだ。
反人種主義の決定版と呼ぶべき本だと思う。
そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティ
わからない。まったくわからないんだ。そしてそれがたまらなく怖い。何も手がかりがないということが……
この物語に触れるのは初めてだったが、とても気に入った。短くて一気に読ませる。最後のページまで犯人は誰なんだろうと考え続けた。
ポアロ短編集
アガサ・クリスティ
この短編集の一番の魅力は、注意深く読めば、ポアロと同じように自分でも謎を解けるかもしれない、という点だと思う。手がかりはすべてページの中に隠されている。他の安易なミステリのような手抜きはない。
ニューヨーク三部作
ポール・オースター
闇だけが、人に心を開かせ、世界へと向かわせる力を持つ。
ばかげた「スリラー」三部作。独特な一冊で、何かが少しずれている世界へ連れて行かれ、現実とは何かを考えさせられる。
ヌメロ・ゼロ
ウンベルト・エーコ
エーコの最高傑作とはほど遠い。『フーコーの振り子』を簡略化して短くしたような本で、あの高みには決して届いていない。
ディナー
ヘルマン・コッホ
オランダで大ヒットした作品だ。確かにぐいぐい読ませるし、最後に強烈などんでん返しがあって、明確な政治的メッセージもある。それでも、そこまでいい本だとは思わなかった。
風の機械(La Macchina Del Vento)
ウー・ミン2
語られる物語自体はおもしろい。ファシスト党によってヴェントテーネ島に流刑にされたイタリアのパルチザンたちが、のちのイタリア共和国の礎を築くという話だ。ただ、ウー・ミンを読み始めるなら、この本は上位5冊はおろか、おそらく上位10冊にも入らないだろう。
アレフ 他短編集
ホルヘ・ルイス・ボルヘス
地上のすべての鏡を見たが、どれ一つとして僕を映さなかった。
一生かけても思いつかないようなテーマと物語の宇宙だ。一番気に入ったのはおそらく「不死の人」だ。
メイク・タイム
ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー
毎日の習慣やちょっとした工夫で生産性と生活を良くしていこうという、肩の力を抜いて読める生産性本だ。生産性のカリスマやこういうジャンルはあまり好きではないのだが、著者たちの軽やかな語り口のおかげでとても楽しく読めた。思考の道具としての書くことと同じように、この本も大切なことから摩擦を取り除く大切さを説いている。
丘の上の悪魔(Il Diavolo Sulle Colline)
チェーザレ・パヴェーゼ
この物語が好きな一番の理由は、自分の生まれた場所の近くが舞台になっていて、あの場所がどれほど恋しいかに気づかせてくれたからだ。
日の名残り ⭐️ 😍
カズオ・イシグロ
もはや問題は給料の額でも、使用人の数でも、家柄の華やかさでもなかった。私たちの世代にとって、職業上の名誉は、何よりも雇い主の道徳的価値にかかっていたのだと思う。
第二次世界大戦後のイングランドの田園地帯を執事が休暇でドライブする話に夢中になるなんて、言われても信じなかっただろう。それなのに、『埋もれた巨人』と同じように、カズオ・イシグロはシンプルでありながら力強い筋立てから傑作を生み出してみせる。
ユダヤ警官同盟(The Yiddish Policemen Union)
マイケル・シェイボン
どの世代も、自分たちが値しないと証明してしまった救世主を失うのだ。
第二次世界大戦中にユダヤ人難民がアラスカの入植地で暮らしているという架空の歴史を舞台にした、いいミステリだ。コーエン兄弟が映画化するはずだったが、結局企画は流れたらしい。
戦争と平和 ⭐️
レフ・トルストイ
ただ生きたい。自分以外の誰にも害をなさずに。
何年も、いや何十年も積読になっていた一冊だ。数か月前、ようやく読む勇気を出して手に取ったのだが、言っておくと本当に楽しく読める。確かに消化するのが少し大変な章もあるが、どれもたいてい短く、トルストイはとても現代的なやり方で次々と登場人物を切り替えていく。この本が含んでいるすべてを説明するのは不可能だ。ロシア貴族社会の描写から、ナポレオンの肖像とその戦い、一人ひとりの感情の機微、そして彼らの思考や心の奥への深い潜行まで。ロマン・ロランが言ったように、「この作品は、人生そのものと同じく、始まりも終わりもない。それは永遠の運動の中にある人生そのものなのだ」。
不可能(Impossibile)
エッリ・デ・ルカ
山に行くのは、自分を見失うため。そして自分を見つけるためだ。
山で起きたかもしれない殺人について取り調べを受ける容疑者をめぐる、とても短い物語だ。この本で一番いいのは、「山で生きる」とはどういうことかについての著者の思索で、そこに書かれた一言一句に共感した。
三体
劉慈欣
君が恐れないのは、無知だからだ。
再教育収容所をめぐる劉慈欣の恐ろしい発言には賛同できないが、本自体は本当に面白くて目が離せなかった。時間があれば一気に読んでいただろう。読んでいる間、完全にあの宇宙で生きていたのだから。そしてそれこそが良い本の証だ。ハードSFかどうかはともかく、僕にとっては新鮮な風だった。
グレート・ギャツビー
F・スコット・フィッツジェラルド
私は内側にも外側にもいた。尽きることのない人生の多様性に、同時に魅了され、反発していたのだ。
この本を十分に味わうには、当時のアメリカ文化についてもっとしっかりした背景知識が必要だったのかもしれない。気に入りはしたが、何か見落としている気がした。
フラットランド ⭐️ 😍
エドウィン・A・アボット
色彩の使用は廃止され、所持は禁じられた。円(サークル)や資格ある科学教師を除き、色彩を表す言葉を口にすることさえ、厳しい罰をもって処せられた。
1884年に書かれた、二次元の世界を舞台にしたヴィクトリア朝文化の風刺だ。天才的で、おかしくて、刺激に満ちている。久しぶりに、これほど読んでいて楽しく、ワクワクする本に出会った。
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