「大腸がん」は「若年層」で増加しているのか?
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(イエス、だが。)
この数年、若年層で大腸がん(CRC)が謎の増加を見せているという記事をよく目にしてきた。その理由として、さまざまな説が語られている。
全般的な健康状態。 現代人は不健康だから(肥満、運動不足、糖尿病、睡眠不足)、インスリン抵抗性や慢性炎症を招き、上皮細胞の増殖が速まり、免疫システムの調整が狂って初期のがんを食い止められなくなっているのでは?
超加工食品。 超加工食品を食べる量が増え、そこに含まれる添加物(乳化剤など)が大腸の粘液を劣化させ、細菌が上皮細胞に触れて炎症を引き起こしているのでは? あるいは、超加工食品は食物繊維が少なく血糖負荷が高く、それがインスリン抵抗性や慢性炎症につながり、上記のような問題を引き起こしているのでは?
肉が悪い。 赤身肉や加工肉を食べる量が増え、大腸が亜硝酸塩や二次胆汁酸にさらされ、上皮に炎症を起こし慢性炎症を促進しているのでは?
マイクロバイオーム。 マイクロバイオームのせいかもしれない。たとえば、人々の腸が遺伝毒性のあるコリバクチンを産生するE. coliの株に定着されつつあるのでは? あるいは、幼少期の抗生物質の乱用によって腸内の保護的な細菌が減り、有害な株が増えているのでは? たとえば炎症を引き起こすB. fragilisの株や、腸内で生き残って腫瘍の増殖を促進するF. nucleatumの株など?
環境曝露。 環境中の有害物質(マイクロプラスチック、永遠の化学物質、農薬、内分泌かく乱物質、大気汚染)にさらされることで、有害な作用(腸管バリアの損傷、マイクロバイオームの攪乱、ホルモンシグナルの障害)が起きているのでは?
母親の健康。 母親の健康状態の悪化(肥満、糖尿病)によって胎児が高血糖/高インスリン/炎症にさらされ、それが子どもの一生にわたる代謝異常や炎症をプログラムしているのでは?
その他もろもろ。 アルコール/喫煙/鎮痛剤/カルシウム/ビタミンD/炎症性腸疾患/遺伝性症候群/検診バイアス、とか?
どの説が犯人なのか、専門家たちの意見は一致していない。そこで(ブログをやっている身として)自分が一肌脱ごうと思った。
これらの説を少し突いてみると、どれも個別にはかなり弱い。すべてを検出バイアスで説明することはできない。なぜなら若年層では大腸がんによる死亡も増えているからだ。また、想定されているいくつかの原因(大気汚染、タバコ)は、実際には先進国では減少している。コリバクチンを産生するE. coliのような他の説明は生物学的にはもっともらしく思えるが、それが経時的に増加しているという証拠はない。マイクロプラスチックや永遠の化学物質といった他の説は、現時点ではほとんどが機序に関する推測に過ぎない。肥満、運動不足、慢性炎症もいずれも生物学的には現実的で、おそらく増加傾向にあるが、なぜそれらが特に大腸がんを若年層に引き起こすのだろうか?
この最後の問いに対するもっともらしい答えは、そうではない、ということだ。確かに関与はしているが、特にそうだというわけではないのだ。
「若年層」
細かいことを言うようだが、少し我慢して聞いてほしい。「大腸がんが若年層で増えている」と言うとき、それは正確には何を意味するのだろうか? 結局のところ、「若者」に該当する人々の集団は時間とともに変わっていくのだ。(自分がどんどん年を取っていくことに気づいたことはないだろうか?)
Siegelら(2026)は、1995年と2022年に異なる年齢層で大腸がんがどれくらいの頻度で見つかったかをプロットしている。
彼らはまた、異なる年齢層でさまざまなタイプの大腸がんがどれくらい一般的かを示す次のプロットも提供している。
一見すると、そこまで悪くは見えない。若い人なら、「なるほど、今の自分のリスクは同じ年齢だった頃の上の世代より高いけれど、年を取れば罹患率は下がっていくんだな」と思うかもしれない。これは良いニュースだと簡単に思えてしまう。若いときの相対的な増加は、年を取ってからの絶対的な減少に比べればごくわずかに見えるからだ。
残念ながら、その考え方は間違っている。
Downhamら(2026)は、英語圏における異なる年齢層の大腸がん罹患率の経時的な推移をプロットしている。
この図は見せた人全員が「わかりにくい」と言ったので、説明させてほしい。異なる線は、異なる年に生まれた人々がその年齢区分に入ったり出たりする様子を追っている。たとえば、右下の米国を示すプロットで「20-25」の線は、一番左の点が1965年から1970年生まれの人々が20〜24歳だったとき(1990年ごろ)の大腸がん罹患率を示している。次の点は、1970年から1975年生まれの人々が彼らが20〜24歳だったとき(1995年ごろ)の罹患率を示しており、以下同様だ。
この図は奇妙だ。線が異なる集団の人々をつないでいるからだ。私が欲しかったのは、異なる出生コホートが年を取るにつれてどうなるかを追う線があるプロットだった。なぜか誰もそういうプロットを作っていないようで、データにも簡単にはアクセスできない。そこで私はプロットデジタイザを使って、上の米国の図のいまいましい点すべてをクリックして、再プロットしてみた。
今度はそれぞれの線が、特定の集団を経時的に追ったものになっている。たとえば「1932.5」の線は、1930年から1935年生まれの人々が異なる年齢に達したときの大腸がん罹患率を示している。よく見ると、これらの罹患率が、1940年から1945年生まれの人々の罹患率よりもデータがある限りすべての年齢で高いことに気づくだろう。
これは長い間続いたパターンだった。1920年から1950年の間、後の世代ほど生涯のあらゆる段階で大腸がん罹患率が低くなるという恩恵を受けていた。しかし1950年から1960年の間にそのパターンは逆転し、それ以降は後の世代ほどすべての年齢で大腸がん罹患率が高くなっているのだ。
将来どうなるかは確かにはわからない。しかし、この傾向は続く可能性が高いと私は思う。そう、あなたが今若いなら、若かった頃の上の世代よりも高い大腸がんリスクに直面している。それが悪いニュースだ。もう一つの悪いニュースは、あなたが年を取ったときにも、年を取った頃の上の世代よりも高い大腸がんリスクに直面するかもしれないということだ。
「大腸がん」
さらに別の悪いニュースは、大腸がんだけが後の世代で増加しているがんではないということだ。Sungら(2019)は次のようなプロットを示している。
これもまた、それぞれの線が異なる人々が年齢区分に出入りする様子を示す、わかりにくいグラフだ。しかし要点はわかるだろう。子宮、胆嚢、腎臓、肝臓、膵臓、甲状腺など、多くのがんが若年層後の世代で増加しているのだ。(彼らの追加資料には他の18種類のがんについてのプロットが掲載されており、そのほとんどは横ばいか減少傾向にある。)
なお、これらのプロットは縦軸が対数スケールになっており、変化は見た目よりも大きいことを意味する。縦の目盛り間を4分の1上がるだけで、約1.78倍の増加に相当する。
もし多くのがんが後の世代で増えているのなら、なぜ皆が大腸がんのことばかり話題にするのだろうか? それは大腸がんが以下の点で独特だからだと私は思う。
- ありふれている
- 危険である
- 後の世代で増加している
- 早期に見つかれば治療可能である
- 検診で発見できる
たとえば、甲状腺がんの診断数はここ数十年で急増した。しかしそれは検出数が増えたことが一因であり、甲状腺がんは治療可能性が非常に高く、早期発見による明確なベネフィットはない。膵臓がんも増加しているように見えるが、良いスクリーニング方法がなく、たとえあったとしても良い治療法がない。
大腸がんが本当に独特なのは、「おい! 大腸がんが増えているぞ! 検診を受けるべきだ!」と伝えることで命を救える点にある。公衆衛生に関心があるなら、それが最も重要なことだ。しかし、大腸がんが増加している謎を解き明かすことに関心があるなら、大腸がんは実際にはまったく独特ではないということを認識しておくことが重要だ。
TLDR
違う:
大腸がんは若年層で増加している。
正しくは:
さまざまな種類のがんが後の世代で増加している。(若い年齢では確実に、おそらくすべての年齢で。)
念のための注意
このブログは大腸がん検診を推奨している。大腸内視鏡検査が他の検診方法(S状結腸鏡検査、便検査)より優れているかどうかはまだわからないが、検診を受けることは受けないより良いということはわかっている。早期に見つかれば、大腸がんは治療可能性が非常に高く、しばしば手術のみ(化学療法や放射線療法なし)で、数週間以内に通常の生活に戻ることができる。
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